防草シートの下は「落とし穴」、浸食と沈下で基礎は「宙ぶらりん」

エネテク 第52回

2020/08/20 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、雨水が繰り返し同じ場所を流れて地面を浸食することでできる、いわゆる「水みち」によるトラブルを紹介する。

 水みちは、川のように深く広く成長して谷のようになることもある。特に、除草剤を使って草を根絶やしに近い状態にしている太陽光発電所では、草の根による土の保持力が弱まり、水みちができやすく、土が浸食しやすい環境になる。

 太陽光発電所における水みちによるトラブルで多いのは、水みちが基礎に沿ってできることだ。基礎の脇や直下の土をそぎ取っていく。

 そうなると、基礎は土による支えを失って宙に浮いてしまう。この状態では、設計時に想定していた地耐力は失われている。いつアレイ(太陽光パネルの設置単位)が損壊してもおかしくない。

 今回、エネテクが点検を受託した太陽光発電所では、損壊リスクだけでなく、敷地内を巡回する作業者が負傷しかねない状態だった。

 地面の土が雨水による侵食でなくなっていたのは、防草シートの下だった(図1)。

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図1●落とし穴のようだった
(出所:エネテク)
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 子供が砂場遊びなどで作る「落とし穴」のような状態になっていた。外見上、防草シートには異変はないため、そうと気づかずに、その上を歩いたら、防草シートがへこんだり、破れたりして足を取られ、転倒する可能性がある。点検従事者が運よく気づいて避けたので難を逃れた。

 調べてみると、杭基礎のまわりに土はなくなり、宙に浮いていた。水みちができはじめた起点は、防草シートの切れ目ではないかと推測している。

 エネテクによると、この発電所の場合、水みちによる浸食のほかに、地盤沈下も起きていた可能性があるという。

 こうした場合、どのように修復するかが重要になる。削り流された分の土を補充しただけでは、同じ状況が再発する可能性が高い。

 長期の運用の面からは、土嚢や石垣などを追加して、より根本的な対策を施すことが望ましい(関連コラム: シラス台地で陥没から法面崩壊、同コラム:土砂崩れで石垣を築く)。

 対応の選択では、発電事業者の姿勢が表れやすい。エネテクでも、できるだけ長期の運営を安全に保ちつつ、過剰にはならないコストで済みそうな手法を提案している。

 今回の場合には、単に土を埋め戻すだけでは再発の恐れが高く、モルタル埋設の活用など他の土木の手法も加えた対策を提案している。

 この発電所は、ほかにも「コネクターの焼損」「ヒューズ切れで送電が止まっている回路」「日射計の断線」など、さまざまなトラブルが生じていた。

 太陽光パネル同士を結ぶコネクターが焼損していたのは(図2)、施工の作業の不良によるとみられる。コネクター同士をつなぐときに、不適切な圧着がなされたような跡が見られた。

図2●焼損していたコネクター
(出所:エネテク)

 ヒューズ切れは、パワーコンディショナー(PCS)内で生じていた(図3)。この発電所の出力は1MWで、国内メーカー製の定格容量25kW機を採用している。国内メーカーの集中型の機種の場合、ヒューズの位置や状態は点検しやすいように配慮されていることが多い。

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図3●ヒューズの場所(上)、切れていたヒューズ(下左)、正常なヒューズ(下右)
(出所:エネテク)

 しかし、今回の場合、国内メーカー製でも小型機で、ヒューズが黒いカバーで覆われていて、その配置を知っている点検従事者でないと、速やかな交換が難しいのではないかという。

 日射計の断線も、多くの太陽光発電所でみられる(図4)。カラスや小動物が、日射計の配線を噛み切ってしまう。

図4●日射計の配線が噛み切られていた
下は、他の発電所での例(出所:エネテク)

 これも、水みちによる土の浸食と同じように、追加の対策を施さないと再発する恐れがあるトラブルである。

【エネテクによるトラブル・シューティング】