焦げて、大きく裂けた太陽光パネル、原因は「導通不良」と「影」

エネテク 第55回

2020/10/01 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、焦げた上に、大きく裂けてしまった太陽光パネルの例を取り上げる。結晶シリコンとカバーガラスという硬い材料を貼り合わせてできている部分にもかかわらず、まるで障子を突き破ったように、裂けて大きな穴が空いている様子は、かなり衝撃的だ(図1)。

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図1●大きく裂けていた太陽光パネル
(出所:エネテク)
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 原因は、石や屋根材などの異物が外部から飛んできてぶつかったのではない。太陽光パネルの製造時の不良や経年劣化に加えて、太陽光発電所に設置後の影の影響が重なって生じたとみられる。

 この太陽光発電所では、数枚のパネルがこのような状態になっていた。

 裂ける状態にまでは至っていなくても、焦げている状態のパネルもあった(図2)。同じような原因で生じ、焦げがより進行したことにより、大きく裂けてしまったとみられる。

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図2●裂けてはいないものの、焦げていた太陽光パネル
(出所:エネテク)
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 焦げているのは、太陽電池セル(発電素子)を結ぶ配線であるインターコネクタの周囲だった。

 焦げたり、大きく裂けたりした太陽光パネルには、ある傾向があった。

 この太陽光発電所内には、連系用の電柱による影がかかる場所がある。このほか、隣接地の工場にある電柱の影がかかる場所がある。

 上空での太陽の高さや位置は季節や時刻によって変わるので、影のかかり方も刻々と変わる。

 焦げたり、裂けたりした太陽光パネルはいずれも、こうした電柱による影がかかる場所に設置されていたものだった。

 このため、エネテクでは、電柱による影が要因の一つではないかと推測した。

 ただし、同じように影がかかっても、こうした損傷のない太陽光パネルもあった。他の発電所でも、影がかかる場合は多いものの、このような状態に至った例は珍しい。こうした違いにも理由がありそうだと考えた。

 この発電所内で、派手に裂けたり焦げたりしていない太陽光パネルも含めて詳細に調べてみた。

 すると、やはりインターコネクタに沿うように焦げている場所がいくつか見つかった(図3)。

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図3●インターコネクタ周辺が焦げていることがわかる
(出所:エネテク)
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 エネテクが推測したのは、影になるパネルのなかでも、元々インターコネクタの導通不良があった場所で、焼損が起きたのではないかということだった。

 影がかかっている時間帯に、1つのセル内の影のかかり具合によって、影がかかっていない場所のインターコネクタに電流が集中する場合がある。これによって過熱する。

 この時に、電流が集中したインターコネクタが正常な状態でも過熱しやすいが、インターコネクタの導通に不良があると、その部分が抵抗となり、さらに過熱しやすい。

 こうした理由でインターコネクタが過熱して焦げて焼損し、さらにはカバーガラスを割って引き裂くまでに至ったのではないかとしている。

 太陽光パネルにかかる影というと、発電量の減少にばかり目が向きがちだが、このようにパネルの状態によっては、焼損して大きく裂けてしまい、その先には、火災や感電といった2次災害を招く恐れがある。

 安全性の面からも、影の状態とともに、影がかかる太陽光パネルの状態にも、注意を払って欲しいと強調している。

【エネテクによるトラブル・シューティング】