原因は「通信ケーブルの損傷」、小型パワコンが稼働を停止

エネテク 第58回

2020/11/12 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、小型のパワーコンディショナー(PCS)が停止していた例を取り上げる。

 「直流の電気を交流に変える」、「交流に変えた電気を送る」といった、PCSの基本的な機能に不具合がなかったのにも関わらず、稼働を止めていた。

 この太陽光発電設備は、現行の固定価格買取制度(FIT)がはじまる以前からある余剰電力買電制度を活用して導入されたもので、比較的古い。

 エネテクがこの発電設備の調査を担当することになり、現地に向かうと、5台ある定格容量約5kWの小型PCSのうち2台が稼働を停止していた。

 この小型PCSは、住宅用の機種で、屋内に設置して使う仕様だった。それにもかかわらず、屋外に置かれた物置の中に設置されていた。この状況は、当時はFIT以前で、屋外用のPCSがあまり存在しなかったことによるようだ。

 小型PCSの状態を調べてみると、PCSとしての基本的な機能である直交変換や送電などの機能には問題がなかった。

 しかし、遠隔監視のためのデータ送信用の通信ケーブルの端子が腐食していた()。

図●端子が腐食している様子がわかる
(出所:エネテク)

 二股にわかれた端子で、これは物置の外に固定された通信用端末を起点に、物置内の小型PCSに接続されていた。この通信ケーブルの端子を見ると、金属部の周辺が赤茶に腐食していた。

 屋外の湿気の多い環境によって、腐食してしまったと推測している。本来の仕様に従い、通信用端末まで含めて、屋内に設置していれば生じなかったとみられる。

 この端子の腐食が、PCSが停止する原因だった。

 こうした通信系設備の不具合によって、PCSの稼働そのものが止まってしまう仕様の小型機は多いという。

 最近では、とくに九州において、こうした通信の不具合による小型PCSの稼働停止の例が、目立っているとしている。

 九州では、2018年秋以降、出力抑制が実施されている。前日の午後、九電からの指示があり、これに基づいて翌朝、出力を止める。この作業の際、通信の不具合によってPCSが稼働を止めていたことが発覚する例が多いようだ。

 PCSなどの発電設備は、仕様に基づいて適切に使用することの重要性を示すとともに、屋外で使用する事業用の発電所では、そもそもこうした屋内への設置を前提とした機種を選ぶべきではないことを示す事例といえる。



【エネテクによるトラブル・シューティング】