野焼きのような白煙、原因は台風で引っ張られた電線のアーク

エネテク 第59回

2020/11/26 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、緊急時の駆け付けサービスで現地の太陽光発電所に点検担当者が向かったところ、発電所全体から白煙が立ち上っていたという、衝撃的な例を取り上げる(図1動画)。

図1・動画●白煙が立ち上っていた
図1・動画●白煙が立ち上っていた
(出所:エネテク)
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 九州にある太陽光発電所で生じた。

 近年、九州では毎年のように記録的な強風や豪雨を伴う台風が上陸・通過し、地域全体で大きな被害を受ける例が相次いでいる。その中で、2020年も、梅雨前線による豪雨や台風によって被災した地域が出ている(関連コラム: 今夏も被災が相次ぐ、「メガソーラー保険」見直しも)。

 今回、紹介する太陽光発電所では、台風の後、遠隔監視システムが不通となった。

 エネテクがO&M(運用・保守)を受託しており、こうした突発的な異変が生じた時には、現地に駆け付ける対応がサービス内容に含まれている。

 そこで、点検担当者が現地に向かった。

 現地に到着すると、この太陽光発電所の全体が白い煙に覆われていた。まるで田畑で野焼きをしているようだったという。

 白煙は、杭基礎の足元付近の多くの場所から立ち上っていた(図2)。

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図2●地中埋設の出口付近から噴き出している様子がわかる
図2●地中埋設の出口付近から噴き出している様子がわかる
(出所:エネテク)
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 電線を地中埋設している場所で、電線を束ねて収納して保護するための配管の、地上に突き出している部分付近から白煙が噴き出していた。

 地中に埋設した配管の中が燃えていたようだ。

 調べてみると、直流の電線に強風で過剰な引っ張り荷重がかかり、接続箱の端子から抜けてしまったり、抜けかかったりしていることがわかった。

 この「抜けたり、抜けかかったり」した時に、電線にアーク(火花)が生じたようだ。

 アークが電線を伝わって発火し、地中埋設している場所まで延焼していったと推測している。これによって、配管の地上の出口から白煙が立ち上っていた。

 この状況の段階で、現地に駆け付けて対応できたことは、不幸中の幸いだった。

 これだけの白煙が噴出している状況を考えると、その後、より大規模な火災にまで拡大する恐れもあったといえる。

 緊急の対応として、点検担当者が、すぐに接続箱のスイッチを使って送電を遮断するとともに、太陽光パネル側の電線を切断した(図3)。

図3●この場所への送電を止めた後の様子
図3●この場所への送電を止めた後の様子
(出所:エネテク)
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 これによって、延焼して白煙が生じている場所への送電を止めた。

 燃えた電線以外、ほかの発電設備の損傷はなかった。このため、その後、電線を敷設し直すことで復旧できた。

 太陽光発電では、日中は太陽光パネルに陽が当たっている限り、発電が止まらない。電線が燃えている場合、そこへの送電が続いて燃え続けてしまう。

 しかも、その電流は直流なので、交流の場合とは異なり、アークが発生すると火花はなかなか消えない。今回の場合のように、電線を伝って燃え移ってしまうことがある。

 改めて、直流のアークの怖さ、いざという時に駆け付ける体制の重要さがわかる例といえる。


【エネテクによるトラブル・シューティング】