「太陽光パネル約8000枚のうち、1500枚を交換」、ラミネート不良に起因

エナジー・ソリューションズ 第1回

2020/12/10 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 今回から、エナジー・ソリューションズ(東京都千代田区)が、ドローン(無人小型飛行体)による空撮を応用した太陽光パネルの点検サービスを担う中で発見してきたトラブル事例を取り上げる。同社は2010年に設立されたベンチャーで、IT関連のシステム開発やサービスを得意とする。ドローンによるパネル点検サービスでは、異常箇所の特定だけでなく、状況や原因、その異常の深刻度の分析、対応に向けた助言まで迅速に提供する点に強みがある。

 エナジー・ソリューションズによるドローン点検サービスは、人間の健康診断でいうCTスキャンに該当するような精密な診断ではなく、緊急度の高いトラブルを素早く見つけ、対応の選択肢まで素早く提案することに主眼を置いている。

 比較的、高解像度の静止画などを使う手法は、トラブルの箇所や状態、原因の素早い特定という目的に向かない。そこで、動画で熱分布画像を撮影して分析する。さらに、ソフトウェアの工夫によって、分析時間を約2MWあたり約3分間などと短縮している。

 こうしたある程度、目的特化型のサービスとすることも奏功して、実績は豊富である(関連コラム1同コラム2)。123カ所・合計出力1.5GWに対して実績があり、複数回受託している発電所もあることから、回数としては165回に達するという。

 第1回では、太陽光発電所内に設置されていた約8000枚のパネルのうち、約1500枚という、多くのパネルが交換になった例を取り上げる(動画)。

動画●過熱しているセルの多い太陽光パネルが点在していた
(出所:エナジー・ソリューションズ)

 この太陽光発電所では、遠隔監視システムを通じて、出力が低下している回路を発見した。現地で目視点検を実施したものの、原因が判明しなかった。

 そこで、ドローンによる点検を活用した。エナジー・ソリューションズが点検サービスを担当した。

 赤外線カメラで空撮した熱分布の動画をみると、数多くのセル(発電素子)が熱分布に異常を示している太陽光パネルがあることがわかる(図1)。白黒の動画では白っぽく見える部分で、実際には過剰に発熱している。こうした異常がみられるパネルが多い。

図1●異常が生じていたパネルと生じていないパネルが混在している
(出所:エナジー・ソリューションズ)
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 一方で、こうした異常がまったくみられない太陽光パネルもある。

 熱分布でセルに過熱がみられた太陽光パネルを調べてみると、セルが外周部を起点に剥がれて浮いてしまっている、といった状態が見られた。こうしたセルでは、太い電極・配線が腐食している状態も確認できた。

 このことから、太陽光パネルを組み立てる工程において、セルをカバーガラスに密着させつつ封止させる「ラミネート」が不十分であることが疑われた。

 ラミネートは、封止材であるEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)を所定の温度と時間で加熱し、セルや電極・配線をカバーガラスとバックシートの間に密封する工程である。長期間の屋外における使用に耐えうる性能の信頼性と安全性を実現できるかどうかを左右する。

 この工程に不備があり、EVAが十分に架橋していないと、設計した通りの密着力と封止力は実現できない。長期の信頼性と安全性を実現できない恐れが生じる(図2)。

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図2●地上で撮影した熱分布画像
(出所:エナジー・ソリューションズ)

 この異常が生じている太陽光パネルと、まったく生じていないパネルがあるのは、製造単位であるロットの異なるパネルが混ざっていることによる。あるロットのパネルは一様に異常が生じ、一方で、異常が生じていないパネルは違うロットのものとみられる。

 こうしたドローン点検による結果を受けて、太陽光パネルを製造・販売した海外メーカーは本腰を入れた対応をとった。

 メーカーが、異常のある太陽光パネルのI-V(電圧-電流)特性を調べた。その結果、約1500枚を交換した。