トラブル

火災で停止した静岡県小山町のバイオマス発電、今夏に暫定再稼働へ(page 2)

熱供給事業にも乗り出し、事業収支の改善を目指す

2021/01/28 19:00
金子憲治=日経BP総合研究所 クリーンテックラボ
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稼働1年目の稼働率は50%以下

 出火に至った原因については、現段階でも特定されていないが、強風や雨など何らかの要因で容器に穴が開き、そこから空気が吹き込み、中の飛灰が発火した可能性が指摘されている。とはいえ、同じ設計で建設された他の導入サイトでは、問題なく運用されていることから、構造的な問題があるとまでは言えないという(図3)。

図3●三洋貿易が見本市で展示したブルクハルト製の木質ペレット・ガス化熱電併給装置。手前の2つの白い容器が今回の出火元になったと推測されている
(出所:日経BP)
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 「森の金太郎発電所」は2018年9月に稼働した後、必ずしも順調に運用されていたとは言えなかった。本格稼働に入った2019年度の平均稼働率は47.7%に留まり、事業収支は赤字が続いていた。

 ブルクハルト製のガス化装置は、世界で160基以上の運用実績があり、平均稼働率は90%近いなど、定評がある。だが、日本国内に導入した場合、ペレットに含まれる無機成分の違いから、ガス化炉内にクリンカが生成しやすく、それが原因で燃料効率が落ちてタールが発生する例が報告されている。そうなると頻繁に稼働を停止して炉内のクリンカを除去する作業が必要になり、連続運転ができないという状況になる(関連記事:串間市のバイオマス発電所、「発火事故」乗り越え安定稼働に)。

 また、熱分解ガス化では、木質ペレットの含水率が重要になるが、ブルクハルトの指定する含水率に適合していても、ペレットのふやけやすさを示す膨潤度によって、熱分解ガス化の安定度合いに大きな差があることなどのケースも報告されている(関連記事:高山のバイオマス発電、トラブルを乗り越え安定稼働に)。

 「森の金太郎発電所」も稼働して1年は、ガス化工程などの安定運用に苦しみ、木質ペレット製造事業者とともに、ペレット品質の改善などに取り組んできた。こうした試行錯誤の成果が表れ、2020年1月以降、稼働率は安定的に70%を超え、5月・6月は86%を超えるなど良好な運転が維持されていた。火災が起きたのは、そんな矢先だった。

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