サルの群れが住みつきフン害も、関西の屋根上太陽光

エネテク 第62回

2021/03/04 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、屋根上の太陽光パネルが、思わぬ理由で汚れていた例を取り上げる。

 この屋根上太陽光は、関西に所在する企業の事業所に設置されている。出力は数百kWという、いわゆるミドルソーラーの規模で、エネテクが年次点検を受託している(図1)。

図1●屋根上のミドルソーラー
(出所:エネテク)
クリックすると拡大した画像が開きます

 年次点検のためにエネテクの点検担当者が現地を訪れ、屋根の上に上がると、何かが動き回っていた。

 観察してみると、ニホンザルだった。動き回ったり、何かを食べたりしていた。サルは数十匹単位でおり、群れがそのまま、屋根上でくつろいで過ごしているようだった。

 ニホンザルは、北海道と沖縄を除き日本列島に広く生息していて、特に中部や近畿、中国地方などの広葉樹林で多く繁殖しているといわれる。里山で見かけることも多く古くから日本人には馴染み深いが、最近ではイノシシやツキノワグマとともに農作物への被害も多く、対策を行っている地域も多い。

 点検担当者がサルの群れに少し近づいてみると、サルの方から逃げ出して、離れていった(図2)。

クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
図2●点検担当者に気づき、逃げる前は数十匹単位の姿があった
(出所:エネテク)
クリックすると拡大した画像が開きます

 サルがいなくなった状態で、屋根上の太陽光発電設備の点検をはじめた。

 太陽光パネルの上には、サルがその上で活動していた痕跡が多く残っていた。その時に食べていたのは、柿の実のようだった。

 問題は、フンがパネル上に多く固着していたことだった。赤外線カメラを使ってフンがある場所の熱分布画像を撮影すると、やはりフンが固着していた場所はセル(発電素子)が過熱していた(図3)。

クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
クリックすると拡大した画像が開きます
図3●フンが固着していた場所は過熱していた
(出所:エネテク)

 こうした場所では、太陽光パネルの表面を清掃してフンを除去した。

 点検中、逃げて姿が見えなくなっていたサルの群れだが、ひそかに屋根上に残っていたサルもいた。

 敷き詰めている太陽光パネルの端から、パネルの下をのぞいてみると、パネル下と折半屋根の間に、サルが隠れていた。

 折半屋根とパネルの間に隠れていたサルも、点検担当者がパネル下をのぞきはじめたことに気づくと、慌てて逃げていった。

 パネル下などにも、サルが活動していたことで、食い散らかされた果物などとともに、フンが多く散乱していた(図4)。

図4●フンなどが多く残り、群れが住み着いているようだという
(出所:エネテク)
クリックすると拡大した画像が開きます

 現地の状況から、このサルの群れは、屋根上の太陽光発電所に住みついている可能性があった。とくに、太陽光パネルと折半屋根とのすき間が、お気に入りの場所となっているようだった。

 エネテクによる太陽光発電設備の年次点検では、発電設備そのものの大きな異常は生じていなかった。

 しかし、サルの群れが日々の活動で残していた食べ物のゴミやフンが多く、この除去のための清掃の手間を要した。

 「太陽光発電設備の点検作業というよりも、サル園で清掃作業を行ったような印象が残るほどの状態だった」という。

 この時に、できる範囲で清掃したものの、点検担当者が作業を終えて帰った後は、またサルの群れが戻ってきて、住みつく日々となることが予想される。

 そこで、発電事業者に何らかの対策を講じることを助言し、発電事業者は有刺鉄線の敷設などを検討しはじめた。しかし、効果の有効性などがわからず、現状では具体的な対策は追加されていない。

 発電設備に大きな損壊などが生じていないのは幸いだが、悩ましい状況という。

【エネテクによるトラブル・シューティング】