住宅太陽光の接続箱に5羽の「スズメ」、侵入経路は?

エネテク 第64回

2021/04/01 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。

 今回は、住宅用の太陽光発電設備における例を取り上げる。

 関東にある住宅で、他社が太陽光発電設備を設置し、エネテクが点検を受託した。

 最近では、事業用の太陽光発電設備に限らず、予算の面で限りがある住宅用でも、こうした点検の例が増えている。安全面から望ましい方向といえる。

 電圧の測定のために、外壁に固定されていた接続箱を開けると、中には5羽のスズメの姿があった(図1)。いずれも死亡していた。

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図1●5羽のスズメが死んでいた
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図1●5羽のスズメが死んでいた
(出所:エネテク)

 エネテクの点検担当者は、まずそれらを接続箱から撤去した。死骸には、多少の損傷が見られた。接続箱の中で暴れたためとみられる。

 その後、接続箱の中を点検すると、電圧などにも異常はなかった。接続箱の機能などには、スズメの侵入や暴れる行動による損傷までには至らなかったようだ。

 ただし、これは幸いと言え、電気的なトラブルが起きてもおかしくないという。

 スズメは、どこから入ってきたのだろうか。

 それは容易に推測できた。太陽光パネルの発電電力を接続箱に送電するための入力口である。

 太陽光パネルからの電線は、樹脂でできた管の中に収められて、屋根上から接続箱まで敷設されていた(図2)。

図2●屋根上から管の中に電線を通している
図2●屋根上から管の中に電線を通している
(出所:エネテク)
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 この管は、そのまま接続箱の入力口も覆うように固定されている。しかし、今回の場合、管の中と、接続箱の中は、すき間でつながっていた。

 太陽光パネルからの電線を接続箱内に通した後、通常はパテで電線とのすき間を埋める。この工程が省略され、入力口と電線の間はスカスカに空いていた。スズメは、ここから侵入した。

 エネテクでは、応急措置としてまずこの入力口と電線の間の隙間を、通常通りにパテで埋めた(図3)。

図3●接続箱の入力口と電線の間をパテで埋めた
図3●接続箱の入力口と電線の間をパテで埋めた
(出所:エネテク)
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 しかし、太陽光パネルが固定されている屋根上側に、元々の侵入口がある。そこを塞がなければ根本的な対策にはならない。

 調べてみると、屋根上側の管の端は、開いたままだった。ここも本来は管と電線の間の隙間を埋める。それが省略され、開いたままなので、鳥は侵入し放題である。

 この家の住民は、屋根上側の管の上部の隙間もパテで埋めることを希望した。しかし、エネテクでは、それには慎重だった。

 屋根上側の隙間から入った管の内部にも、スズメなどが侵入している可能性があるからだった。管を一度、解体して鳥の死骸の有無などを確認することを勧めた。

 顧客の判断と決断次第で、今後、屋根上側を本格的に確認し、補修することになるだろうという。

 このように、住宅用の太陽光発電設備でも、予期しないトラブルが多くある。事業用ほどの頻度は難しくても、ある程度の間隔で点検することが重要としている。

【エネテクによるトラブル・シューティング】