まず、この小型PCSの筐体に漏電していないことを確認した後、筐体の扉を開けてみた(図3)。
筐体内の表示画面で、異常の履歴を表示してみたが、異常はないと表示された。
次に、PCSの稼働を止めて、中核部材が収納されている内蓋を開いてみた。すると、集端子の部分が激しく焼損していた(図4)。
PCS全体が焼損していてもおかしくない状態だった。
激しく焼損していた端子や電線は、完全に断線してはいなかった。これによって通電が続いていたため、PCSは動作を続け、センサーが異常を検知しないままだったようだ。
このような状態では、安全性の確保が最優先となり、関係する遮断器をすべて開放した。そして、発電事業者に報告した。
敷地内を巡回しながらの目視点検は、点検担当者にとって、定型的な業務で、油断したり手を抜いてしまいがちな点検項目となっている。
要領よく効率的にこなそうとしてしまうと、そこに大きな穴があることがある。常に緊張感を維持した状態で臨まないと、今回のような汚れや異音、異臭を起点に発見できるトラブルを見逃してしまう恐れがある。
遠隔監視システムにすべてを頼り切るには限界があり、巡回しながらの目視点検のような、誰にも見られていない作業に、地道に適切に打ち込み続けているかどうかに、点検の質が現れると強調している。
焼損の原因は、溶けていた電線の樹脂の被覆の状態から推測できた。溶けた被覆が緑色に変色している場合、水分の影響が原因であることが多い。
このメガソーラーのある地域は、この冬、大雪に見舞われた。
PCSの排気口の前が、雪で覆われてしまっていた時期があったのかもしれず、それによって排気が不十分で、かつ、水分が多く入り込むことになり、焼損につながったのではないかと推測している。
【エネテクによるトラブル・シューティング】
「フタをケチったラック」、電線の損傷や火災、除草時に事故も
電線をまとめて敷設する時に使われる「ケーブルラック」を、適切でない使い方をしていた。電線が損傷して発火や火災に至ったり、
2020/3/11