雪中で分散型パワコンが焼損、あわや火災の危険も

エネテク 第65回

2021/04/15 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。

 今回は、積雪期にパワーコンディショナー(PCS)が発火したとみられる例を取り上げる。

 関東にあるメガソーラー(大規模太陽光発電所)で、エネテクが定期点検を受託している。

 このメガソーラーの定期点検を1月に実施した。この日は、ドローン(無人小型飛行体)を使った点検と巡回による点検を実施した。

 現地は積雪していた。駐車場からメガソーラーまでは少し離れているため、新雪を踏みしめながらメガソーラーに向かった(図1)。

図1●雪の中を歩いて向かった
(出所:エネテク)
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 この日の点検従事者の1人は、ベトナムの出身者だった。雪を見るのが新鮮だったようで、いつもよりも歩みが踊り気味だった。

 現地ではまず、ドローンによる点検を実施した。

 最初にドローンで点検しておくと、ストリング(太陽光パネルを接続した単位)の異常や、太陽光パネルの異常を簡単に発見できるので、重点的に調べる場所をあらかじめ絞っておくことができ、そうした場所をより念入りに点検でき、かつ、全体の点検作業を効率化できる。

 このメガソーラーでは、ドローン点検では異常が見つからなかった。

 次に、敷地内を歩いて見回って巡回しながら目視点検した。

 すると、ベトナム出身の点検従事者が、先に巡回していた場所で、排気口の汚れが酷いPCSを見つけてきた(図2)。このメガソーラーは、小容量の機種を採用した、いわゆる分散型の構成となっている。

図2●排気口が焦げていた
(出所:エネテク)
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 まだ慣れない日本語で、「汚い。他のPCSよりうるさい。臭い」などと懸命に報告してくれた。汚れはもちろんだが、異音や異臭で異常を感じやすかったようだ。

 他のPCSに比べて、明らかに動作音が大きかった。

 もっとわかりやすかったのは異臭で、マスクをしていても、焦げ臭かった。

 まず、この小型PCSの筐体に漏電していないことを確認した後、筐体の扉を開けてみた(図3)。

図3●筐体の中の様子
(出所:エネテク)
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 筐体内の表示画面で、異常の履歴を表示してみたが、異常はないと表示された。

 次に、PCSの稼働を止めて、中核部材が収納されている内蓋を開いてみた。すると、集端子の部分が激しく焼損していた(図4)。

図4●端子は焦げ、電線の被覆は溶けて緑に変色していた
(出所:エネテク)
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 PCS全体が焼損していてもおかしくない状態だった。

 激しく焼損していた端子や電線は、完全に断線してはいなかった。これによって通電が続いていたため、PCSは動作を続け、センサーが異常を検知しないままだったようだ。

 このような状態では、安全性の確保が最優先となり、関係する遮断器をすべて開放した。そして、発電事業者に報告した。

 敷地内を巡回しながらの目視点検は、点検担当者にとって、定型的な業務で、油断したり手を抜いてしまいがちな点検項目となっている。

 要領よく効率的にこなそうとしてしまうと、そこに大きな穴があることがある。常に緊張感を維持した状態で臨まないと、今回のような汚れや異音、異臭を起点に発見できるトラブルを見逃してしまう恐れがある。

 遠隔監視システムにすべてを頼り切るには限界があり、巡回しながらの目視点検のような、誰にも見られていない作業に、地道に適切に打ち込み続けているかどうかに、点検の質が現れると強調している。

 焼損の原因は、溶けていた電線の樹脂の被覆の状態から推測できた。溶けた被覆が緑色に変色している場合、水分の影響が原因であることが多い。

 このメガソーラーのある地域は、この冬、大雪に見舞われた。

 PCSの排気口の前が、雪で覆われてしまっていた時期があったのかもしれず、それによって排気が不十分で、かつ、水分が多く入り込むことになり、焼損につながったのではないかと推測している。


【エネテクによるトラブル・シューティング】