「小型パワコンの半分が発電不良」、点検を怠ってきた屋根上太陽光

エネテク 第71回

2021/07/15 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。

 関東にある工場で、エネテクが太陽光発電設備を点検することになった。太陽光パネルは屋根上にあり、これまで点検したことがなかったという。

 パワーコンディショナー(PCS)は小型の機種で、工場建屋の壁面に9台が固定されていた(図1)。

図1●工場の壁に固定された小型PCS
(出所:エネテク)
クリックすると拡大した画像が開きます

 まず、これらのPCSを点検し、累積の発電量を確認した。すると、累積の発電量が多いPCSと、これに比べて累積発電量が半分以下と極端に少ないPCSがあった。9台のうち4台が、極端に累積発電量が少なかった。

 事前に、発電設備の回路図などは提供されていなかった。このため、PCSごとに同じ枚数の太陽光パネルの発電電力が入力されている、一般的な構成と想定した場合、極端に累積発電量が少ないPCSの回路には、何らかの異常が生じていると推測できた。

 そして、極端に累積発電量が少ないPCSに接続されているストリング(太陽光パネルを接続する単位)ごとに、電流値を測定した(図2)。すると、予想していた通り、電流が流れていない回路が複数見つかった。

図2●電流が流れていない回路も
(出所:エネテク)
クリックすると拡大した画像が開きます

 次に、目視点検と測定機器を使い、電流が流れていない原因となっている場所を特定する作業に入った。

 すると、断線している場所が見つかった。例えば、+(プラス)側は太陽光パネルまで繋がっていたものの、-(マイナス)側がパネルまで繋がっていないストリングがあった。

 この原因の1つは、電線を接続するための圧着が不十分なことだった。圧着部から外れた状態となっていた電線が多くあった(図3)。

図3●圧着の不良で電線が外れていた
(出所:エネテク)
クリックすると拡大した画像が開きます

 こうした圧着不良は、この小型PCSの筐体内に備えられていた電線をまとめて収納する複数のボックスのうち、特定のボックスに収められていた電線から多く見つかった。

 累計の発電量が極端に少なかったPCSのすべてで、こうした理由で断線していた場所が見つかった。

 施工の初歩的なミスによる可能性があり、稼働当初からこのような状況だった可能性もある。

 稼働以来、一度も点検しなかったために、こうした初歩的なミスによる発電ロスを見逃していた。こうした状況を防ぐためにも、定期的に適切な点検を実施することが重要といえる。

【エネテクによるトラブル・シューティング】