トラブル

豪雨の後、「太陽光パネルに、おびただしいカエルの死骸」(page 2)

エネテク 第72回

2021/07/29 17:45
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 太陽光発電所に近づくと、太陽光パネルの上が、葉っぱのような緑色の異物に覆われている状況が見えた。

 近くでみると、それは葉っぱではなかった。おびただしい数のカエルの死骸だった。

 この太陽光発電所の中や周囲で、通常はカエルを見ることはなかった。豪雨の影響で多くのカエルが流されてきたものと推測された。

 周囲に流れる多くの沢が氾濫し、このサイトにも泥水が流れ込んでいたことから、沢の上流などに生息していたカエルが、激流で押し流されたと考えられた。

 その後、水が引いて、翌日には、さらに炎天の猛暑となった。

 カエルは、水場で生きている。水がない場所で炎天の猛暑に晒されたところに、青々としたものが広がっていた。なんだか池や沼の水面のように見えなくもない。

 そこに涼を求めて、えいやっとばかりに飛び込んだ。カエルたちが期待したのは、「古池や蛙飛び込む水の音」というような状況だったのだろう。

 しかし、そこは池でも沼でもなかった。太陽光パネルの上だった。

 この日の気温は35℃を超えていた。炎天の日照を浴び、かつ、フルに発電していた太陽光パネルの表面は70℃近くに達していた可能性がある。

 この上に次々に飛び乗っていったカエルは、灼熱の太陽光パネルに着地したとたんに、短時間で水分を奪われ、パネル表面に固着するように死んでしまったようだ。

 死骸を見ると、太陽光パネルの上から何とか動こうとしながらも、そのまま張り付いて動けなくなり、死んでしまった状況がうかがえる(図1)。

図1●何とか逃げようとしたものの、固着してしまった状況がうかがえる
図1●何とか逃げようとしたものの、固着してしまった状況がうかがえる
(出所:エネテク)
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 太陽光パネルを池や沼などの水場と誤認する例では、トンボの例が知られている。太陽光パネルを水面と誤認して、パネル表面に産卵してしまう。

 トンボの場合は、平常時の誤認で、これも卵にとって不幸な例だが、今回のカエルの場合、濁流にのまれて流されるうちに、たまたま太陽光発電所に流れ着いたもので、災害に巻き込まれた生物に起きてしまった“悲劇”だった。

 この太陽光発電所の復旧において、太陽光パネルに固着するように死んでいたカエルの除去には、かなりの時間を要した。

 中でも、内臓が太陽光パネルにへばりついて乾いていた場所は、除去に苦労したという。こうした異物を放置すると、過熱の原因となり、いわゆるホットスポットが生じかねない。このため、すべて除去した。

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