敷地内で、草刈機のエンジンを起動した。すると、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の近くにある雑草の茂みが、なにやらガサガサと揺れ始めた。なにか動物が潜んでいるような気配だった。
雑草の繁みは、人の背丈よりも高かった。そして、これから刈ろうとしている場所だった。
この繁みの雑草を刈り倒していった。すると、なにやら白くて硬そうなものを見つけた。
シカの立派な角だった(図2)。
エネテクの点検担当者によると、おそらくアレイの四隅に角の根本付近をぶつけてしまい、雑草の茂みの中を逃げている最中に、落ちてしまったのではないかと推測している。
まるで、戦国武将、真田幸村の兜に飾られていたような、見事な大きさの立派な角だったという(図3)。
8月の出来事だったことから、シカの角が生え替わる時期ではない。太陽光発電所内に侵入していたこと以上に、思わぬ時期に角をなくしたことで、オスとしての威厳を失ったのではないかと気を回わしてしまったという。
しかし、シカが、なぜ太陽光発電所内に侵入するのか、謎が多いという。フェンスを飛び越えて侵入してきたところで、シカの食べ物になるようなものは、敷地内にはまず見つからない。
雑草などは生えているが、シカが噛んだような跡を見つけることはない。
最近では、動物対策として、外周をフェンスで囲んでいる畑もあることから、フェンスを見て、畑と誤認して飛び越えてくるのだろうかなど、いろいろな想像を働かせてみるものの、なかなか思い当たるところがないという。