草刈り中に動物の気配、あとには戦国武将の兜を彷彿させるシカの角

エネテク 第74回

2021/09/02 07:35
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。

 今回は、太陽光発電所にシカが侵入していた例を紹介する。

 国内の多くの森林や里山で、近年、シカの目撃情報が急激に増えている。木の皮をはがす、木の芽や草を食べつくす、農作物を食べるといった被害も相次いでいる。

 昨年以来、新型コロナウイルスの感染防止策として人の往来や外出を控える対策がとられていることから、これまで以上に人里に出没する傾向にある(図1)。

図1●里山でシカを見かけることも多い
図1●里山でシカを見かけることも多い
太陽光発電所ではない場所で撮影(出所:日経BP)
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 シカは、里山に近い太陽光発電所に侵入することもある(他の太陽光発電事業者における例:発電所内でシカが死亡)。

 エネテクの場合、山間部にある太陽光発電所において夜間、点検する際に遭遇することがある。シカ以外にも、さまざまな動物に遭遇した例がある。

 太陽光発電所における点検は通常、日中に実施する。夜間、点検が必要なのは、使用前自主点検における高圧の耐圧試験などである。

 現地に向かっている時に、暗闇の山の中を、まるでナイトサファリのような状態でクルマを走らせていると、左右の茂みがキラッと光ることがある。

 警戒しながら、ゆっくりと進んでいくと、今度は、道の真ん中にシカが5頭ほどたむろし、行く手を阻まれるようなこともしばしばあるという。このような時、シカはなかなか逃げることはない。通行に苦労する。

 今回、紹介する太陽光発電所における例は、除草作業中に起きた出来事である。

 敷地内で、草刈機のエンジンを起動した。すると、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の近くにある雑草の茂みが、なにやらガサガサと揺れ始めた。なにか動物が潜んでいるような気配だった。

 雑草の繁みは、人の背丈よりも高かった。そして、これから刈ろうとしている場所だった。

 この繁みの雑草を刈り倒していった。すると、なにやら白くて硬そうなものを見つけた。

 シカの立派な角だった(図2)。

図2●落ちていたシカの角
図2●落ちていたシカの角
(出所:エネテク)
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 エネテクの点検担当者によると、おそらくアレイの四隅に角の根本付近をぶつけてしまい、雑草の茂みの中を逃げている最中に、落ちてしまったのではないかと推測している。

 まるで、戦国武将、真田幸村の兜に飾られていたような、見事な大きさの立派な角だったという(図3)。

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図3●真田幸村の兜に飾られていたような、見事な角だった
図3●真田幸村の兜に飾られていたような、見事な角だった
(出所:エネテク)
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 8月の出来事だったことから、シカの角が生え替わる時期ではない。太陽光発電所内に侵入していたこと以上に、思わぬ時期に角をなくしたことで、オスとしての威厳を失ったのではないかと気を回わしてしまったという。

 しかし、シカが、なぜ太陽光発電所内に侵入するのか、謎が多いという。フェンスを飛び越えて侵入してきたところで、シカの食べ物になるようなものは、敷地内にはまず見つからない。

 雑草などは生えているが、シカが噛んだような跡を見つけることはない。

 最近では、動物対策として、外周をフェンスで囲んでいる畑もあることから、フェンスを見て、畑と誤認して飛び越えてくるのだろうかなど、いろいろな想像を働かせてみるものの、なかなか思い当たるところがないという。

 エネテクによる太陽光発電所の点検では、シカが太陽光パネルを損壊したと推測した例もあった(図4)。

図4●シカが飛び乗って割れたと推測した、他の発電所における例
図4●シカが飛び乗って割れたと推測した、他の発電所における例
(出所:エネテク)
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 カバーガラスが割れ、その割れの起点に大きな打痕のような跡が残っていた。

 この太陽光発電所の周辺環境や日常の状況から、シカが太陽光パネルの上に飛び乗って、蹄が乗った部分に大きな衝撃がかかって割れたのではないかと推測している。



【エネテクによるトラブル・シューティング】