太陽光の点検中、アレイの下に座っていたのは「カモシカ」

エネテク 第77回

2021/10/07 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。

 今回は、太陽光発電所で点検中に、シカに遭遇した例を紹介する。

 シカは近年、国内の多くの森林や里山で目撃情報が急増している。太陽光発電所の敷地内に侵入していた形跡の報告も少なくない。シカは、外周のフェンスを飛び越えて太陽光発電所の敷地内に侵入してくる。

 第74回では、草刈りの作業中、雑草の茂みの中に動物の気配を感じ、その茂みの雑草を刈り進めていくと、見事なシカの角が落ちているのを見つけたという例を紹介した(関連コラム:草刈り中に動物の気配、あとには戦国武将の兜を彷彿させるシカの角)。

 この時は、気配は感じたものの、点検担当者がシカに遭遇し、姿を見るまでには至らなかった。

 今回は、東北地方の山間部に立地する特別高圧送電線に連系しているメガソーラー(大規模太陽光発電所)における例である。

 エネテクの点検担当者が、このメガソーラーに向かい、敷地内に入って作業をはじめると、アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の下の地面に、なにやら動物らしい姿をみつけた。

 観察してみると、カモシカのようだった。足を休めるように、地面に座っていた(図1)。

図1●アレイ下にカモシカがいた
図1●アレイ下にカモシカがいた
(出所:エネテク)
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 このメガソーラーは、木々に囲まれていて、冬には雪が積もる。いかにもシカが生息していそうな場所だった。

 敷地内には、雑草がある程度、伸びていた。シカは、柔らかい草を好む。若くて柔らかい雑草が伸びている状況は、好物に囲まれた環境となっていた。

 雑草はまた、身を隠す場所にもなる。冒頭で紹介した「雑草の茂みの中に、動物の気配を感じた」例は、まさにこの雑草で身を隠していた状況といえる。

 とはいえ、シカは臆病なため、もし、太陽光発電所の敷地中で、点検担当者と出会ったとしても、ほとんどの場合、シカの方から逃げ去ってくれるようだ(関連インタビュー)。

 エネテクの点検担当者も、カモシカの存在は気にして警戒は続けつつ、そのままカモシカが座っていた場所からは遠い場所で、点検の作業を続けた。

 敷地内を移動しながら地面を観察してみると、シカの蹄によるとみられる独特の形の足跡が、多く残っている場所もあった。

 カモシカは、アレイの付近にゆったりと座り続けていたが(図2)、そのうちに立ち去っていった。気づいた時には、いなくなっていたという。

図2●アレイ下の地面に座っていた
図2●アレイ下の地面に座っていた
(出所:エネテク)
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 このメガソーラーにおける別の日時の点検時には、点検担当者が敷地内でクマに遭遇したこともあった。

 この時には、クマとの距離がかなりあったこともあり、点検担当者はスマートフォンで敷地内のクマの様子を撮影しようと試みた。

 すると、クマは、点検担当者が何らかの威嚇をしようとしていると感じたのか、突如、点検担当者の方向に向かってくるように動き始めた。このため、前を向いたまま後ずさりして、クマを避けるようにした。

 その後、クマは点検作業者に向かう動きを止め、去っていった。

 この経験から、クマに遭遇した場合、スマートフォンで撮影しようとする動作も、クマを刺激することがあることがわかり、撮影を試みることを控えるようにした。



【エネテクによるトラブル・シューティング】