このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。
出力制御(出力抑制)のためにパワーコンディショナー(PCS)を遠隔制御するシステムを追加する例が増えている中、この遠隔制御に関連するトラブルが目立ってきた。
今回、取り上げるのは、国内のある大手重電メーカーによる集中型の大容量PCSに遠隔制御システムを後付けすると起きるトラブルである(図)。今回の例の場合の遠隔制御とは、九州電力送配電によるオンライン制御ではなく、発電事業者が手動で行う停止・再稼働を遠隔から可能にしたものだ。
固定価格買取制度(FIT)のスタート初期に認定され、30日ルールが適用されている太陽光発電所では、九州電力送配電の出力制御指令を前日にメールなどで通知され、自分で現地に出向いてPCSを手動で午前9時に停止し、午後4時に再稼働するのが基本となっている。
しかし、これは大変な手間なので、多くの発電事業者は、これを機に遠隔操作でPCSをオン・オフできるシステムを後付けで導入し、この作業を軽減させた。
この際に採用される遠隔制御システムは、ほぼ2社のシステムのどちらかに限られているという。
このうち1社の遠隔制御システムを、ある国内大手重電メーカー製PCSの初期モデルに後付けした場合に、トラブルが生じるケースが目立っている。
ちなみにこの大手重電メーカーの機種とは、大容量PCSで国内シェアトップの東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製ではないので、それほど広範に不具合が起きているわけではない。