自家消費太陽光の逆潮防止でトラブル、2つの制御・監視システムが干渉

エネテク 第83回

2022/01/06 08:08
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く手掛けてきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。

 出力制御(出力抑制)のためにパワーコンディショナー(PCS)を遠隔制御するシステムを追加する例が増えている中()、この遠隔制御に関連するトラブルが増えてきた。

図●今回とは違う発電所における、今回の事例とは異なるメーカーの出力制御対応型の遠隔監視画面の例
図●今回とは違う発電所における、今回の事例とは異なるメーカーの出力制御対応型の遠隔監視画面の例
(出所:エネテク)

 今回、紹介するのは、売電用の太陽光発電システムに対する、一般送配電事業者からの要請による出力抑制ではなく、自家消費の太陽光発電システムにおける例である。余剰売電が認められず、電力系統に逆潮流させない契約の場合、出力を抑制する制御が必要になる。

 倉庫の屋根上に太陽光パネルを並べた発電システムで顕在化した。この倉庫の運営会社が自家発電用として設置・運用している。

 倉庫の消費電力が太陽光発電電力を上回っている時は、全量を倉庫で消費できる。逆に、太陽光発電電力が倉庫の電力需要を上回りそうなときには、PCSの出力を抑制して逆潮を防止する。この出力抑制でトラブルが生じた。

 出力抑制のための遠隔制御では、一般的に1つのシステムで遠隔制御と監視を担う。

 これに対して、問題となった屋根上太陽光の自家消費システムでは、遠隔監視と遠隔制御を別のシステムで構成している。

 遠隔監視と遠隔制御のシステムが個別にわかれた理由は、この倉庫の運営会社が、全国各地で運営している太陽光発電システムの稼働状況を、共通のシステムで監視し、1つの画面で一元管理しやすくする運用を志向していることにある。

 しかし、この倉庫会社が共通で活用している遠隔監視システムには、遠隔制御の機能を追加できなかった。

 これまでは、この倉庫会社は売電用の太陽光発電システムのみを開発・運営してきたため、遠隔監視の機能のみで問題はなく、この遠隔監視システムを一元管理するための共用のシステムとして採用してきた。

 今回、初めて余剰売電なしの全量自家消費型太陽光発電システムを導入し、逆潮流を防止するための出力抑制が必要になった。

 そこで、この自家消費用の太陽光発電システムでは、一元管理するための共用の遠隔監視システムのほかに、遠隔制御システムも導入した。

 この発電所が採用したPCSでは、通信に「RS485」とよばれる規格が採用されている。RS485の規格では、1つの遠隔監視や制御のシステムを接続することが想定されている。

 こうした状況の中、RS485の通信でも、他の遠隔監視システムとの併用が可能という遠隔制御システムがあった。そこでエネテクでは、この遠隔制御システムの採用を提案し、倉庫会社がこの案を採用した。

 稼働当初、数回、この遠隔制御システム関連のトラブルで、太陽光発電が止まった。いずれも、太陽光発電量が倉庫の需要を上回ることが多い朝方の時間帯だった。逆潮流を防止する出力抑制に関係するところに原因があることが疑われた。

 原因を調べてみると、一元管理するための共用の遠隔監視システムと、遠隔制御システムに関連する何らかの干渉が起きているようだった。

 そこで、遠隔制御システム側の逆潮流の防止に関する制御の設定を調整すると、この干渉によると思われる発電の停止は生じなくなった。

 複数の太陽光発電所を運営している発電事業者には、同じように、一元管理するために遠隔監視のみのシステムを採用している企業が多い。そこに、遠隔制御の機能を追加する必要が出てくる例は、今後も増えてくることが予想され、同様のトラブルが増える可能性もある。


【エネテクによるトラブル・シューティング】