太陽光パネルでカラスが「石置きゲーム」、滑るか残るかを競う?

エネテク 第87回

2022/03/03 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ

 このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。

 太陽光発電所におけるカラスの「遊び」では、石をくわえて飛んできて、太陽光パネルの上空から落とすことが知られている。パネルのカバーガラスが割れる原因のトップが、おそらくカラスによる石落としとみられ、発電事業者にとっては悩みの種となっている。

 エネテクが点検を担当した中では、カラスの石落としによるとみられる太陽光パネルのカバーガラスの割れが、年に約300枚にも上る太陽光発電所もある。中部地方にある特別高圧送電線に連系しているメガソーラー(大規模太陽光発電所)である。

 今回、取り上げる「カラスの遊び」の例では、カバーガラスは割れていないので、通常の「石落とし」に比べると被害の程度は低い。

 太陽光発電所の点検は、屋外で長時間に及ぶ場合が多い。エネテクによる現地での作業や、車内での昼食時などに、カラスがやってきて遊んでいるのを見かけることがある。

 ある太陽光発電所における点検の際に、複数のカラスがその発電所の上空に飛んできたことに気づいた。

 様子を見ていると、カラスはそれぞれ石をくわえている。そして、太陽光パネルの上に落としていく。その行為を繰り返している。

 太陽光パネルのカバーガラスを割ろうとしているようには見えない。

 よく観察してみると、傾けて設置されていることを生かして、落とした石が太陽光パネル上を転がり落ちたら「失敗」、転がらずにその場に残ったら「成功」ということを競って遊んでいるようだった(図1)。

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図1●落ちたら「失敗」、落ちずに残ったら「成功」と競っていた
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図1●落ちたら「失敗」、落ちずに残ったら「成功」と競っていた
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図1●落ちたら「失敗」、落ちずに残ったら「成功」と競っていた
(出所:エネテク)

 なかなか高度な遊びといえる。

 こうした「石置きゲーム」を目撃するのは、千葉県内が多いという。カラスの生態に地域性があるのかもしれないと推測している。

 設置角の大きい積雪地域や、設置角の浅い南国の太陽光発電所では、転がるか、残るか、微妙な角度ではないので、そもそも「遊び」にならないのかもしれない。

 カラスの遊びには、石以外のものも使われる。

 ビール瓶の割れたかけらを太陽光パネルの間に挟んだり、接続箱内にアリ対策に置いておいた駆除剤「アリの巣コロリ」、乾燥したヘチマなど、さまざまなものを置いて遊ぶ(図2)。

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図2●さまざまなものを置いていく
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図2●さまざまなものを置いていく
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図2●さまざまなものを置いていく
(出所:エネテク)

 太陽光パネルのカバーガラスは割れないものの、そこは影になるので、発電には悪影響を及ぼす(図3)。過熱にもつながるので、除去する必要がある。

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図3●熱分布の異常を生じる
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図3●熱分布の異常を生じる
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図3●熱分布の異常を生じる
(出所:エネテク)

 アレイ(太陽光パネルを架台に固定する単位)の上部に置かれてしまうと、点検中に見つけた時に、除去するのに苦労することがある。

 もっと大変なこともある。ゴミ捨て場から食品をくわえてきて太陽光パネル上に置かれた場合である。

 エネテクが点検した中では、マヨネーズを容器ごとくわえてきて、太陽光パネルの上で絞り出すように中身を広げられ、こびり付いていたことがあった。

 この時には、固着したマヨネーズを拭き落した。なかなか大変な作業だったと、担当者が嘆いていたという。


【エネテクによるトラブル・シューティング】