このシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を取り上げている。同社は、2007年に創業した電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている。
太陽光パネルは年々、進化している。セル(発電素子)自体の変換効率の向上を生かすだけでなく、パネルの構造や製造プロセスの工夫によっても効率が向上したりコストが下がってきている。
先端的な製品のなかには、構造が大きく変わったタイプもある。こうした製品では、これまでの太陽光パネルとは違った故障の傾向がみられる場合がある。
今回、紹介するのは、ハーフカットセルと呼ばれる、半分ずつに切断したセルで構成された太陽光パネルの故障の例である。
エネテクが点検を受託した太陽光発電所で、ドローン(無人小型飛行体)を使って赤外線カメラで空撮した太陽光パネルの熱分布の画像から、過熱している場所が見つかった(図1)。
この太陽光発電所が採用していたのは、半分ずつに切断したセルを採用したハーフカットセルの太陽光パネルだった。
ハーフカットセルで構成された太陽光パネルの場合、一般的には、3直列・2並列の構成となっていることが多い。複数セルの直列回路であるクラスタは、通常のパネルの2倍の6つとなっている。そして、長辺方向にわかれた2つのクラスタが並列に接続されている。
これにより、セルに何らかの異常が生じてバイパスダイオードが働いて、そのセルを含むクラスタを迂回して発電する場合、そのクラスタが占める全体の6分の1の部分に過熱などが生じる(図2、関連コラム)。

そのクラスタと並列に接続されている長辺方向の逆側のクラスタにも影響を及ぼす場合もある(関連コラム:「影がない場所も過熱」、ハーフカットセルの太陽光パネルに特有の異常)。