現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

米加州の砂漠地帯で1GWのメガソーラー、開発許可へ

27.5GWを超える再エネ事業が西部の公有地で承認待ち

2022/01/11 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

西部劇の舞台にメガソーラー

 米西部開拓時代を舞台にしたウエスタンムービー(西部劇)と言えば、勇敢なガンマンと駅馬車。そして、背景にはほとんどのシーンで広大な砂漠が広がっている…。ゴロゴロした大きな岩の周りには多種のサボテン、吹き付ける風でコロコロ回る雑草と舞い上がる砂。そんな荒涼とした風景を持つカリフォルニア州の砂漠地帯には連邦政府の公有地があり、そこでメガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発が進んでいる(図1)。

図1●メガソーラーが開発される連邦政府所有のカリフォルニア州の砂漠
図1●メガソーラーが開発される連邦政府所有のカリフォルニア州の砂漠
(出所:BLM)
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 米国・内務省土地管理局(BLM)は、主として西部の膨大な公有地と資源を所管している。具体的には、2億4500万エーカーの公有地と7億エーカーの鉱区を管理している。これは、米国の10エーカーにつき1エーカーの土地と、国の全鉱物の約30パーセントをBLMが管理していることになる。

最初の3案件で1GW

 砂漠というと不毛な大地というイメージもあるが、カリフォルニア州の砂漠には、地下には様々な資源、地上には多様な動植物が生息しており、それらの生態系を維持するため多くの保護区がある。さらに、この地域には太陽光、風力、地熱エネルギー資源が豊富にあり、その潜在量は米国内でも最高レベルになる。

 BLMは、 「これらの再生可能エネルギーは、国のエネルギー需要を満たし、エネルギー自立を促進し、今後数十年にわたって気候変動に対処するために温室効果ガスを削減する上で重要な役割を果たす」とし、「砂漠の再エネ保全計画(DRECP:The Desert Renewable Energy Conservation Plan)」を立ち上げた(図2)。

図2●米国・内務省土地管理局(BLM)によるカリフォルニア州の砂漠にメガソーラー建設を促す「砂漠の再エネ保全計画(DRECP)」
図2●米国・内務省土地管理局(BLM)によるカリフォルニア州の砂漠にメガソーラー建設を促す「砂漠の再エネ保全計画(DRECP)」
(出所:BLM)
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 DRECPは、カリフォルニア州の7つの郡(インペリアル、イニョ、カーン、ロサンゼルス、リバーサイド、サンバーナーディーノ、サンディエゴ)の砂漠地域にある1080万エーカーの公有地に着目し、ユニークで価値のある砂漠の生態系を保護しつつ、アウトドアのレクリエーションの機会を提供しながら、再エネ開発を合理化する包括的な計画としている。

 DRECPには2つの主要な目標がある。 1つは、連邦および州の再エネ導入の目標と方針に沿って、カリフォルニア州南部の砂漠で発電事業用の大規模な再エネ発電と送電インフラを開発するための合理化されたプロセスを提供すること。 もう1つは、持続的な規制手法によって、DRECP地域内における他の物理的、文化的、景観的、社会的な資源だけでなく、特殊な生物種や砂漠の植生群落の長期的な保全と管理を提供することである。この「合理化されたプロセス」には、再エネプロジェクトのタイムリーな許可プロセスの促進が含まれている。

 具体的に、BLMは、2021年12月21日、カリフォルニア州南部にあるジョシュアツリー国立公園近くの砂漠地帯における3つのメガソーラープロジェクトの進行を承認すると発表した。これらは、DRECPにおける最初の案件になり、3つで約1GWという大規模なものだ。

54もの再エネプロジェクトが申請

 すでに承認されたプロジェクトは、連系出力265MWの「アリカ・ソーラー」と連系出力200MWの「ビクトリーパス・ソーラー」で、両プロジェクトを合わせると465MWに達する。さらに、どちらのメガソーラーにも最大200MWのエネルギー貯蔵設備が併設される予定である。

 両案件の用地は、アリカ・ソーラーで約2000エーカー、ビクトリーパス・ソーラーで1800エーカーに達し、BLMが管理する土地に隣接して配置される予定である。ちなみに、両プロジェクトの建設費は推定で合計6億8900万ドルとされている。

 さらに近日、承認される予定の3つ目のプロジェクトは、連系出力500MWの「オペロン・ソーラー」である。このプロジェクトは、2700エーカーのBLM公有地に建設され、発電量は、約14万2000世帯の電力消費量に匹敵する。

 BLMのデータによると、現在すでに合計2.5GWを超えるメガソーラーがBLMの管理する公有地で稼働している。そこには、連系出力300MWの「ステイトライン・ソーラー・ファーム」、250MWの「シルバーステイト・ソーラー」、そして550MWの「デザート・サンライト・ソーラー」が含まれる。これらプロジェクトは、米ファースト・ソーラー製のカドミウムテルル(CdTe) 型化合物系太陽電池を採用した。米ファースト・ソーラーは、薄膜パネルの製造・販売で世界トップであり、EPC(設計・調達・施工)サービス事業者としても世界でトップクラスとなっている(図3)。

図3●カリフォルニア州にある連邦政府の所有する砂漠に導入されたメガソーラー(デザート・サンライト・ソーラー)
図3●カリフォルニア州にある連邦政府の所有する砂漠に導入されたメガソーラー(デザート・サンライト・ソーラー)
(出所:NextEra Energy Resources)
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 BLMは現在、米国西部の公有地で提案されている54もの発電事業用の大規模な陸上におけるクリーンエネルギープロジェクトの申請を処理している。提案されたプロジェクトは、40のメガソーラー、4つの風力、4つの地熱、およびクリーンエネルギーを供給するのに不可欠な6つの送電網プロジェクトが含まれる。これらのプロジェクトがすべて承認され、将来稼働すると、合計で 27.5GWを超える再エネが米国西部の電力網に新たに加えられることになる。