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新大統領の「バイ・アメリカン」で米国内の太陽電池生産は復活するか!?(page 3)

前政権の輸入関税でも輸入パネルは増え、米国内のセル生産は姿消す

2021/01/29 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト
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サンパワーも国内セル生産から撤退へ

 韓国のハンファQセルズは、ジョージア州ウリットフィールド郡にモジュール組み立て工場を建設すると発表し、2019年に年産1.5GWの新工場を完成させた。さらに、LGも工場新設の発表を2018年に行い、アラバマ州ハンツビル郡にモジュール組み立て工場を2019年に稼働させた。現時点の組み立て生産能力は年間550MWで、2019年の500MWから拡大した。

 ミンツ氏によると、韓国のセル輸入のほとんどはLG向けで、あとはハンファ向けという。

 さらに、ミンツ氏に2019年に米国への輸入セルの9%を占めた日本製について聞くと、「ほとんどがパナソニック向けです。京セラ、シャープ、カネカ向けではありません。ソーラーフロンティアは化合物系(CIS型)なので、セルではなくモジュールを米国に出荷しています。それ以外には、わずかですが中国製セルが日本を経由して米国に輸入されています」と語った。

 関税措置が実施されたものの、皮肉なことに現在、米国内でセルを商業規模で生産している米国メーカーはCdTe(カドテル)型化合物系太陽光パネルの供給で世界トップであるファースト・ソーラーだけに留まっている。

 米国太陽電池メーカーといえば、ファースト・ソーラーのほか、サンパワーが思い浮かぶ。同社は、世界最高の変換効率を誇ったバックコンタクト方式(IBC)の結晶シリコン型太陽電池セル・パネルで知られている。

 関税措置実施後に、同社は、国内生産拡大に向け、独ソーラーワールドの子会社であるソーラーワールド・アメリカズのオレゴン州にある工場の買収に踏み入った。この工場は、西半球で最大規模の結晶シリコン太陽電池セル・パネル生産工場で、米国唯一の結晶シリコン太陽電池セルの製造会社として、米国内でのセル生産復活に期待が寄せられた。

 しかし、サンパワーは昨年、北米に特化したエネルギーサービス提供会社であるサンパワーと、世界屈指の先進技術で太陽電池を開発するマキシオン・ソーラー・テクノロジーという、それぞれに異なった太陽光関連分野に特化した2つの専業会社に分離することを発表した。さらに今年に入り、買収したオレゴン州の工場稼働を3月までに停止し、6月までに工場から撤退する計画を明らかにした。つまりこれにより、米国内での商業レベルでの結晶シリコン太陽電池セルの生産拠点は、事実上、なくなることになる。

 米国内でのモジュールの組み立て製造は拡大するものの、モジュールの輸入量も際立って伸びている。米エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の国内モジュール出荷量のデータによると、2019年における米国内出荷量のうち97%は輸入モジュールが占めている。さらに2020年9月までのデータをみると92%となっている(図3)。

図3●米国における太陽電池モジュールの国内出荷量に対する輸入量推移
(出所:US EIA)
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 セル・モジュール共に輸入に大きく依存している米国で太陽光発電の供給拠点に戻ることはかなり難しいことであろう。

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