2021年に15GW超のメガソーラーが新規導入へ
最大460MW案件は蓄電池併設、両面発電と1軸追尾を採用
太陽光と風力でシェア8割
2021年1月に発表された米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)の調査によると、2021年には、約40GWの発電所が新たに稼働する予定になっている。そのうち、太陽光発電は全体でもっともシェアが大きく39%、それに続く風力は31%と、太陽光と風力で全体のなんと80%に達する。次に続くのは、天然ガスでシェアは16%、そしてエネルギー貯蔵が11%となっている(図1)。
太陽光発電デベロッパーと発電所所有者は、2021年に連系出力15.4GWもの発電事業用の太陽光発電所を新設・稼働する計画である。EIAのデータによると、この容量は、昨年2020年の約12GWを大きく超えることになる。
ちなみに立地を見ると、新設太陽光発電所の28%はテキサス州、続いて9%はネバダ州、同じく9%はカリフォルニア州、そして7%がノースカロライナ州となっており、これらの4州で全体の半分以上を占める。
「両面発電・一軸追尾」に蓄電池
現時点で、2021年に稼働する太陽光プロジェクトで最大規模になるのは、「パーミアン・エネルギー・センター」で、テキサス州アンドリュー郡で開発されている。このプロジェクトは、連系出力420MWの太陽光発電所に出力40MW(容量40MWh)のエネルギー貯蔵施設が併設され、合計出力は460MWに達する。バイフェイシャル(両面発電型)パネルと一軸追尾式の架台システムを採用し、約130万枚のバイフェイシャル太陽光パネルは、中国ジンコソーラー製と中国JAソーラー製で、一軸追尾架台は米国ネクストラッカーにより供給される。
このプロジェクトを開発しているのは、デンマークの風力発電事業で有名なオーステッドだ。同社は米国内では洋上風力発電でリーダー的な存在になっている。2018年に太陽光発電デベロッパーであるリンカーン・クリーン・エネルギーを買収したことにより、パーミアンプロジェクトを代表とする太陽光発電、そしてエネルギー貯蔵設備も同社のポートフォーリオに加わることになった。
プロジェクトは今年中期に稼働する予定である。
エネルギー貯蔵は4.3GW新設
さらに、EIAは2021年に、昨年比4倍の4.3GWの発電事業用エネルギー貯蔵が2021年に新設されると予測している。太陽光、風力などの変動性再生可能エネルギーの導入加速が、エネルギー貯蔵設備のニーズを高めており、エネルギー貯蔵と再エネの併設も拡大傾向にある。
現在、世界で最大規模に当たる太陽光発電に併設されたエネルギー貯蔵プロジェクトである「マネティー・ソーラー・エネルギーセンター」がフロリダ州で開発中となっており、稼働は2021年後期とされている。
フロリダ州最大の電力会社であるフロリダ・パワー・アンド・ライト(FP&L)は2019年3月に、出力409MWのエネルギー貯蔵設備を建設すると発表した。容量は900MWhとなっている。同州のマネティー郡に設置済みの太陽光発電所の電力を充放電する予定で、発表当時に最大規模とされた太陽光併設型エネルギー貯蔵プロジェクトの4倍になるという。
FP&Lは、2018年に当時米国で最大規模の太陽光併設型エネルギー貯蔵設備「バブコック・ランチ・蓄電池システム」を稼働させた。このプロジェクトは、フロリダ州で既に稼働している「バブコック・ランチ・ソーラー・エネルギーセンター」と呼ばれる発電事業用太陽光発電所に、10MWのエネルギー貯蔵設備を新設したものだ(図2)。
ガス火力2基を閉鎖へ
今回この「マンティー」エネルギー貯蔵プロジェクトから電力を供給することにより、FP&Lは、電力需要ピーク時に火力発電所を稼働させずにすみ、化石燃料の使用を回避し、さらにCO2 排出量を削減できる。実際、FP&Lは、このプロジェクトにより、1970年代に建設された2基の天然ガス火力発電所を閉鎖し、クリーンな再エネ電力に置き換える予定という。
現時点で、FP&Lは、フロリダ州で最大の太陽光発電事業者で、900万枚以上からなる太陽光パネルからなる33基の発電事業用の太陽光発電を稼働させている。同電力会社は、よりクリーンな電力をよりお手頃に提供するため、「2030年までに最低3000万枚」(30 million solar panels by 2030)の太陽光パネルを導入する「30 by 30」目標を2019年に掲げた。
ちなみに、FP&Lは、世界で最大規模の太陽光と風力の発電事業者である米ネクストエア・エネルギーの傘下にある。同社は、新規の太陽光発電所プロジェクトのうち、半分以上はエネルギー貯蔵設備と併設されると発表している(図3)。