現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

米大学で急拡大、メガソーラーからの電力調達

「物理的PPA」と「バーチャルPPA」を使い分け

2020/03/25 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

40超の大学が「100%」達成

 アップル、マイクロソフト、グーグルなど米国リーディング企業だけでなく大学などの教育機関でも再生可能エネルギーへの転換が急速に拡がっている。

 米エンバイロメント・アメリカ・リサーチ・ポリシーセンターによると、既に40を超える米国の大学(州、公、私立、2・4年制)は「100%転換」を実現しているという。現在、多くの大学が気候変動対策に本腰を入れ、太陽光発電設置の導入と太陽光発電電力の調達を積極的に拡大している。

 現在、再エネ調達量で米国トップの大学は、米最大規模の州立大学群であるカリフォルニア大学。現在、同校による再エネ調達量は年間273ThW (2兆7300万kWh)を超える。

 同大学は、2025年まで電源を100%再エネまたはゼロカーボン電源に転換する目標を掲げている。同大学は既に州内に建設された合計80MWの太陽光発電所から電力を調達済みで、連系出力16.3MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を含む大規模な設備もキャンパス内や付近に導入している(図1)。

図1●カリフォルニア大学デイビス校に設置された自家消費用のメガソーラー。大学のキャンパスは左上
(出所:Regents of the University of California, Davis campus)
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スタンフォード大は太陽光で100%

 大学の中には、太陽光発電だけで「100%」を実現しようとしている大学がある。

 それは、世界でトップレベルの大学である、スタンフォード大学である。同大学は、来年2021年には「大学で消費する電力を100%太陽光発電に賄う」という目標が達成されるという。同校は既に78MWの太陽光発電を調達済みで、現在88MWの太陽光発電所が同大学向けに建設されている。

 最初のメガソーラーである「スタンフォード太陽光発電所#1」は出力67MWで、カリフォルニア州に建設され、2016年に運転を開始した。また、2017年には同校のキャンパス内に合計出力5MWの屋根上太陽光発電を設置した。

 そして、現在、2基目のメガソーラーとして「スタンフォード太陽光発電所#2」をカリフォルニア州中部に建設している。こちらは出力88MWで、運転開始は2021年後半と計画されている。この3つの設備の総発電量は、同大学の年間電力消費量に匹敵し、さらに同大学の二酸化炭素排出量を90%カットできるという(図2)。

図2●スタンフォード大学用に設置されたメガソーラー
(出所:L.A. Cicero)
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「バーチャルPPA」とは?

 「スタンフォード太陽光発電所#1」は、米太陽光パネルメーカー・ターンキーソルーションプロバイダーであるサンパワーによって開発された。

 また、「スタンフォード太陽光発電所#2」プロジェクトを担当するのは、太陽光パネルメーカーであるカナディアン・ソラーの子会社であるリカレント・エネルギーである。同社は長期電力購入契約(PPA)をもとに、スタンフォード大学に電力を供給する。活用されるPPAは「バーチャルPPA」である。

 PPAは物理的、そしてバーチャル(金融的とも呼ばれる)の2つに分けられる。物理的PPAが成立するためには、顧客が電力供給を受けとる送配電網に再エネ設備が接続しているが、金融的PPAの場合、顧客と発電設備が異なる州に存在するなど、再エネ発電設備と顧客が同じ送配電網に接続していないことになる。

 金融的PPAの利点の一つは、1回の取引で大量の電力を購入できることだ。 さらに、電力規制下の州では物理的PPAが結べないので、金融的PPAが貴重な選択肢となる。

 同じようにバーチャルPPAを先月結んだ大学がペンシルベニア州にある。

 ペンシルベニア州にある4つの大学が提携し、約50MWのメガソーラーから電力を調達する契約を結んだ。その4校とは、私立総合大学のリーハイ大学、私立リベラルアーツ・カレッジラであるファイエット大学、ミューレンバーグ大学、そして、ディキンソン大学で、 この4校によるPPAは、ペンシルバニア州の大学で最初になる。

 このメガソーラーに、キャンパス内の他の再エネプロジェクトを合わせることで、ミューレンバーグ大学、リーハイ大学、そしてファイエット大学は、全電力消費量を100%再エネで相殺できるという。ディキンソン大学は、同大学の電力需要の30%を供給できる3MWの屋根上太陽光発電をキャンパス内に既に設置済みである。

 このバーチャルPPAにより、これら4校はテキサス州に建設されるメガソーラー から15年間、環境価値と共に電力を購入する。

ペンシルバニア州でも大学が70MW着工

 同じペンシルバニア州で、物理的PPAを実行しているのは、ペンシルバニア州立大学(以下ペンステイト)。ペンシルベニア州の州立総合大学の一つで、10万人以上の学生が同州24カ所のキャンパスに通っている。

 ペンステイトは昨年9月、同州で最大規模となる計70MW(太陽光パネルベース)・53.5MW(連系ベース)のメガソーラー の着工式を行った。完成すれば15万枚以上の太陽光パネルが敷き詰められる。ペンステイトは、25年に渡りこのメガソーラーから電力を購入する。

 ちなみに、購入電力量は同校の25%の電力消費量に匹敵する。さらに、このプロジェクトは同大学の2020年までに二酸化炭素排出量を35%削減する、という目標をサポートする。太陽光発電の低価格化が還元され、ペンステイトは契約期間に少なくとも1400万ドルの電気代削減が期待できるという。プロジェクトに関しては、米ライトハウスBP社が、資金調達、建設、所有、そして運営を行う。設置工事は今年夏までに完了する予定である(図3)。

図3●ペンシルバニア州立大学用に計画されている70MWのメガソーラー
(出所:Lighthouse BP)
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