現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

米住宅太陽光市場、新型コロナでどんな影響が?

レジリエンス向上や光熱費削減で評価する消費者も

2020/05/15 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

見積もり会社がアンケート調査

 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染防止対策とパンデミック(世界的な流行)による景気後退は、多くの産業で企業業績を悪化させている。だが、業種によっては、必ずしも負の側面ばかりではない。住宅太陽光の分野も、そうした業種の1つといえそうだ(図1)。

図1●COVID-19パンデミックによって米経済は大きく停滞している
図1●COVID-19パンデミックによって米経済は大きく停滞している
(出所:ジョンズ・ホプキンズ大学のシステム科学工学センター)
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 今年5月に入り、「COVID-19時代における(住宅太陽光の)利用者と設置者の意識」と題するアンケート調査の結果を米エネルギーセイジ(EnergySage)がスペシャル版として発表した。

 この調査は、住宅用太陽光発電を導入する予定の消費者と住宅太陽光の施工事業者を対象としている。調査エリアは全米で、COVID-19のパンデミックが米住宅用太陽光市場にどのように影響を与え、消費者と施工者はどのように対応しているか、という点が調査の目的になっている。米エネルギーセイジは、オンラインによる太陽光発電システムの見積もりサービスを提供している会社である。

 この調査では以下の3つ傾向が明らかになった。

(1)COVID-19により、太陽光発電に興味が高まった。

(2)太陽光発電設備の購入・設置を延期、または、既存の契約をキャンセルする顧客はあまり多くはない。

(3)太陽光発電設備の営業がオンラインに移行し、いくつかのメリットが現れ出した。

消費者の太陽光への関心高まる

 まず、消費者へのアンケート調査だが、COVID-19以前に太陽光発電導入を考えていた、18歳以上の全米の消費者を対象に、今年3月末から4月14日に渡ってオンライン調査が行われた。ちなみに、調査の対象者数は509人である。

 「COVID-19でどのように太陽光発電に関する興味が変わりましたか?」という質問に対し、63%は、COVID-19以前より太陽光発電導入への関心が強まったと答えている。全体の37%は、「特に強まった」と答えている(図2)。

図2●消費者のCOVID-19パンデミック前後における太陽光発電導入への関心の変化
図2●消費者のCOVID-19パンデミック前後における太陽光発電導入への関心の変化
(出所:EnergySage)
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レジリエンスや経済性を評価

 太陽光発電への関心が強まった理由については、主に以下3つが多かった。(1)外出自粛要請により自宅で過ごす時間が長くなり、家庭での電気消費を意識するようになった、(2)災害時のレジリエンス(回復力)と自立性を高めたい。そして、(3)現在のCOVID-19による経済的制約により、電気料金を下げて出費を減らしたい――となっている。

 特に、「COVID-19によりエネルギーレジリエンスをもっと高める計画に取り組んでいる」については64%が同意している。COVID-19で、多くの消費者が、エネルギーの安全保障と個人のバックアップパワーの確保への関心がより高まっている。

 「太陽光発電を設置する予定日は変わりましたか」という質問に対して、16%は予定を変えてないとの答えだったが、実は逆に34%は「予定日を前倒しにして早めている」と答えた。レジリエンスやコスト削減などの利点から、太陽光への関心が高まった消費者がいることは、この数値にも表れている。

 とはいえ残りの50%がCOVID-19で設置予定日を遅らせていると答えており、その分、施工事業者の収入が短期的に減っていることになる。ただ、設置予定日を約1年後に延期したと答えたのは7%に留まり、ほかは数週間から数カ月の延期となっている(図3)。

図3●消費者のCOVID-19パンデミック前後における太陽光導入時期への変化
図3●消費者のCOVID-19パンデミック前後における太陽光導入時期への変化
(出所:EnergySage)
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営業継続だが解雇も

 住宅用太陽光発電の販売・施工を行っている施工事業者については、全米レベルで4月14日から26日まで調査を行った。調査の対象者数は151人となっている。

 「住宅太陽光の営業と、設備の設置は続けていますか?」との質問に対し、91%は、積極的に太陽光発電の営業を続けていると答えた。ちなみに、米国土安全保障省が公表した連邦政府のガイダンスによると、太陽光発電会社は「エッセンシャル(必要不可欠)」となっている。

 このガイダンスで「非必須(ノンエッセンシャル)」とされた業種では事業の停止と従業員の在宅勤務が義務付けとなったが、「エッセンシャル」とされた業種は、営業の継続が認められている。州政府、または地方自治体のガイダンスが連邦政府のガイダンスに優先される場合もあるが、太陽光発電施工業者は全米にわたり、ほとんど営業を継続しているようだ。

 「既存の契約を延期、またはキャンセルした顧客が(1人でも)いますか?」との質問に対しては69%の施工者が「はい」と返答した。

 さらに、「具体的に顧客の何%が既存の契約を延期、またはキャンセルしましたか?」との質問への回答は、既存の契約をキャンセルした顧客が占める比率は13%、設置を延期したのが31%、そして何も問題なく予定通りが56%だった。つまり、キャンセル・延期した顧客の比率は半分以下になっている。

 ここで興味深い発見は、多くの施工事業者は、既存の契約の遅延またはキャンセルが発生していると報告しているが、その半面、3分の1の消費者は導入の計画を加速すると答えていることだ。消費者の受け止め方には、両面があることを示している(図4)。

図4●太陽光施工事業者のCOVID-19パンデミック前後における顧客の反応の変化
図4●太陽光施工事業者のCOVID-19パンデミック前後における顧客の反応の変化
(出所:EnergySage)
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 施工事業者の93%は、COVID-19の状況がビジネスに悪影響を及ぼしていると答えており、その内5分の2が会社に大きな損害を与えていると答えている。

 「COVID-19により、従業員を解雇しましたか? 解雇する予定はありますか?」に対して、51%が、既に解雇を行ったと答え、10%は、解雇はまだしていないが、する予定であると答え、残りの49%は解雇する予定はないと答えている。

 「このパンデミックという逆境の中、あなたの会社、または太陽光発電産業に何かポジティブな事が起こっていると思いますか?」に対し、24%は、オンラインを通じた販売手法への能力と円滑さが増したと答え、20%は(消費者の)レジリエンスへの要求が高まった、などがポジティブな成果として挙げられた。