現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

2019年の世界太陽電池市場、シェアトップ5社は?

出荷量は前年比39%増、「単結晶」が主流に

2020/05/25 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

出荷量は再び増加に転じる

 太陽光発電市場に関するリサーチ・コンサルティング会社である米SPV マーケットリサーチ(SPV Market Research)の最新レポート「ソーラーフレア(Solar Flare)」によると、2019年の全世界における太陽電池出荷量は、結晶シリコン系と薄膜系を合せ、前年比39%増の123.5GWだった。

 ちなみに、2018年の出荷量は、前年比5%減だったので、2019年に供給量は大きく改善され、盛り返したことになる。

 2019年の出荷量のシェアを国別に見てみると、1位は、中国で全世界出荷量の63%を占めた。2位はマレーシアだが、かなり距離を空けて、シェアは約20%だった。

 年間出荷量が10G Wを超えたのは、上位2位の中国とマレーシアだけだった。3位のベトナムは9GWを超えたが、 10GWにはとどかなかった。4位は台湾、5位は韓国となっている。米SPV マーケットリサーチによると、上位5位が2019年の全世界太陽電池出荷量の90%以上を占めた(図1)。

図1●2019年の国別世界太陽電池出荷量シェア(トップ5)
(出所:SPV Market Research)
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 さらに、2019年の出荷量をメーカー別に見てみよう。

上位10社で6割占める

 1位は、農業や新エネルギーを主力事業とする中国の通威集団傘下のシリコン系太陽電池メーカーである通威太陽能(Tongwei Solar)で、世界シェアは二桁の10%であった。同社がこの市場で首位につくのは初めてで、SPV マーケットリサーチによると、同社の2018年のシェアは5%だったので、1年間でシェアが2倍になったことになる(図2)。

図2●2019年のメーカー別世界太陽電池出荷量シェアトップ5
(出所:SPV Market Research)
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 2位は中国の隆基緑能科技(Longi)、3位は中国の 晶科能源(Jinko Solar)、4位は本社カナダ・生産中国のカナディアン・ソーラー、そして、5位は中国の愛旭太陽能科技(Aiko Solar)となっている。レポートによると上位10社で総出荷量の63%を占めたという。ちなみに、愛旭太陽能科技の2018年におけるランキングは10位で、同社のランキングはかなり上がったことになる。

単結晶が多結晶を上回る

 このレポートでは、出荷量をテクノロジー別にも分析している。2019年には何と「単結晶シリコン型」の太陽電池の出荷量が初めて「多結晶シリコン」を抜いた。単結晶のシェアは前年より17ポイント上がり62%を占めた。それと反対に、多結晶のシェアは前年比32ポイント減となった。

 この点に関し、SPV マーケットリサーチは2017年12月に発行した太陽光発電市場レポートで、「2017年に単結晶シリコン型の太陽光パネル出荷量が、初めて多結晶シリコンを抜いた」とのデータを公表したが、その後に収集したデータを加味したところ、2017年、2018年段階では、依然として多結晶シリコンの方が多いとの集計値になったという(関連記事)。

 SPVマーケットリサーチの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏によると、多くの太陽電池メーカーは、2015年から単結晶シリコンを使った「裏面不動態型セル」(PERC: Passivated Emitter and Rear Cell)の生産能力を増やし始め、2019年にはp型PERCの本格的な生産が拡大し、出荷も大きく増加した。

 実は、太陽電池産業の草創期には、単結晶シリコンが強い時期もあった。ミンツ氏によると、1999年には単結晶シリコンが市場で優位性を持ち、2000年には単結晶シリコンが多結晶シリコンの出荷量を上回ったという。とはいうものの、その差はわずか1MWで、その後、多結晶シリコンが急速に伸び、2018年まで市場で優位を保っていた(図3)。

図3●2019年のテクノロジー別世界太陽電池出荷量シェア
(出所:SPV Market Research)
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 ちなみに、結晶系以外のテクノロジーでは、薄膜太陽電池の1つである化合物型のカドミウムテルル(CdTe)タイプは、出荷量が前年比66%増となり、5%のシェアを占めた。これは、米ファーストソーラーが生産拡大によって出荷量を増やしたからである。

新型コロナの影響は?

 太陽光発電産業の川上から川下まで全ての分野において深い専門知識を持つミンツ氏に、新型コロナウイルス(COVID-19)が与える2020年の業界における見解を尋ねた。

 「COVID-19は、全体のサプライチェーンと流通を大きくディスラプト(混乱)させます。実際に何が起こるのか、答えは誰も知りません。これは、ウイルスがまだそこにあるのに、私たちはビジネスを世界的に再開し始めました。ワクチン、検査、治療が見つかるまで、また近い将来に、シャットダウン(閉鎖)が起こるかもしれません」

 「もともと太陽光発電産業は、ディスラプション に弱い面があります。それは主に業界のバリューチェーンが中国に置かれているからです。中国は2019年に世界の太陽電池出荷量の63%も占めました。2019年には、ヨーロッパ、米国、日本、そしてインドにおいて需要が高まりましたが、中国と東南アジア以外の国は(自国の太陽電池需要を)輸入に頼らざるを得ません。これがこの産業の持つ、もろさの根本なのです」

 「2020年から2022年にかけての予測に関して、太陽光発電産業の需要と供給は、政府のCOVID-19パンデミック(爆発的な流行)対応に大きく左右されます。パンデミックがまた再発すれば、政府は、製造業や建設業をシャットダウンしなければならないかもしれません。この先2、3年、太陽光発電産業は、通常の経済理論や過去の業界の常識が全く通用しない、スタート・ストップの状況にさらされるかもしれません。したがって、今後2、3年は、どんな予測も信頼度が高いとはいえないでしょう」

図4●新型コロナウイルスによる今後の影響を予測するのは難しい
(出所:ジョンズ・ホプキンズ大学のシステム科学工学センター)
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