ガス価格上昇でも石炭火力は減少
米国エネルギー省(DOE)・エネルギー情報局(EIA)は、この夏、太陽光と風力が米国のより大きな発電源になるという予測を今年5月に発表した。
EIAの「夏季電力見通し」と呼ばれるデータ分析レポートによると、この夏(6~8月)に米国電力部門で最も発電量が増加する電源は再生可能エネルギーで、 昨年の夏と比較して大幅に増加する“唯一”の発電源になると予想している。
こうした再エネ発電量の大幅増加という見込みは、太陽光と風力発電の新規導入量から導かれるもので、2022年6~8月までの発電事業用太陽光発電所による発電量は、昨年夏の同時期と比較して1000万メガワット時(MWh)増加し、風力発電は800万MWh増加すると予測されている(図1)。
再エネと逆に、化石燃料資源である石炭火力と天然ガス火力からの発電量は、今年の夏に2600万MWh減少すると予測されている。2022年に予測される天然ガス価格の上昇により、天然ガス火力による発電量は、昨年に比べて今夏に減少するとされている。
さらに、従来天然ガスの価格が上昇すると、代替として石炭火力の発電量が拡大したが、近年多くの石炭火力発電所が廃炉になり、さらに残りの石炭火力も何らかの制限を受けているため、発電量も減少するとされている。実際、EIAのデータによると、2011年から2021年の間に、米国全体で104.9GWの石炭火力が廃炉になった。