現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

石油産業を支えた米テキサス州、風力に続き太陽光でも全米トップに

太陽光発電の新設容量で、ついにカリフォルニア州を抜く!?

2021/06/24 16:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

再エネでも他州をリード

 米国南部に位置するテキサス州と言えば、広大な土地、カウボーイ、巨大なステーキ、そして石油・天然ガス産業の中心地としても有名である。米本土最大の油田を擁し、長らく米国経済の発展を支えてきた。

 米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)によると、テキサス州は、原油と天然ガスの生産で依然として全米トップである。 2020年には、米国における原油生産量の43%、市場に出回っている天然ガス生産量の26%を占めた。実はすでに同州は、原油、天然ガスだけでなく、風力発電でも全米をリードしている。2020年には米国内で風力発電から生み出された電力の約28%が同州で発電したものだった。

 もともとテキサス州は発電電力量が最も多い州で、2番目のフロリダ州のほぼ2倍の電力を生産している。こうした全米トップのエネルギー生産エリアが、太陽光発電でも米国のけん引役になりつつある(図1)。

図1●テキサス州で稼働している連系出力250MWの大規模太陽光発電「ピービー・ソーラー」
(出所:INNERGEX)
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太陽光でカリフォルニア州を抜く

 米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)とコンサルティング会社であるウッドマッケンジーによって共同で出版された最新の米国太陽光発電市場レポートによると、2021年第1四半期(1~3月)時点で、米国内の太陽光設備は累計100GWを超えたという。

 これも大きなトピックなのだが、さらにニュース価値が高いと感じるのは、テキサス州の太陽光分野での躍進だ。同州は、第1四半期だけで1.52 GWもの新しい太陽光発電を導入し、同四半期の導入量で今まで「不動のリーダー」とも言えたカリフォルニア州を抜いた。テキサス州が第1四半期に導入した容量は、2019年における同州の年間導入量(1.41GW)を超えるほどの急拡大ぶりだった。

 2020年における太陽光の年間導入量では、カリフォルニア州が1位を維持したものの、2位のテキサス州が追い上げ、その差は2019年の1.7GWから、わずか490MWに縮まっていた。SEIAとウッドマッケンジーは、今後5年間、テキサス州では毎年4GW以上の太陽光が新設されると予想しており、同州が米太陽光市場の新たなリーダーに躍り出る可能性が高くなっている(図2)。

図2●カリフォルニア州とテキサス州の太陽光発電導入量
(出所:Wood Mackenzie and SEIA)
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連系契約済みは24GW

 テキサス州では多くの発電事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)が計画されている。同州の電力系統を管理するテキサス州電気信頼性評議会(ERCOT)のデータによると、今年5月末で同管内に稼働するメガソーラーは連系出力4.4GW。さらに、系統連系契約済み(稼働前)のメガソーラーは、実に連系出力24GWに達する。

 ちなみに、今年5月末から12月までに稼働予定の太陽光プロジェクトは連系出力約3GWとなっている。

 今年5月末時点で、連系契約済みのプロジェクトで最も大きな案件は、同州ワールトン郡で開発される連系出力610MWの「スペース・シティ・ソーラー」。稼働は来年5月になっている。その他にも500MWを超えるプロジェクトが6つもある(図3)。

図3●ERCOT管轄内で連系契約済みのメガソーラートップ10
(2021年5月末時点、出所:ERCOT)
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米国最大規模「ギガソーラー」も

 この中には、現在発表されているプロジェクトでは全米最大規模の「サムソン・ソーラー・エネルギー・センター(以後、サムソン)」の一部も含まれている。「サムソン」の出力規模は1.31GW(1310MW)に達し、メガソーラーを超えた「ギガソーラー」プロジェクトになる。

 建設は2020年の7月に既に始まっている。「サムソン」の建設計画は、5段階の工期に分かれており、各段階が終わるごとに順次、商業運転を開始することになっている。3年の年月をかけて建設し、完成予定は2023年とされている。1~3段階で稼働するエリアは、250MW、200MW、そして250MWの規模で、これらの合計700MWは、既にERCOTと連系契約済みで今回のデータに含まれている。計画中の残りの4段階と5段階のエリア(300MWと310MW)はこの時点でまだ含まれていない。

 このプロジェクトを開発しているのは米インベナジーで、同社は、イリノイ州シカゴに拠点を持ち、これまでに米国のみならず、日本とウルグアイに合計出力5.7GWを超える太陽光プロジェクトの開発から建設、そして運営を手がけた。

エネルギー貯蔵も拡大

 ちなみに、ERCOTのデータには発電事業用のエネルギー貯蔵設備も含まれている。今年5月末時点で、既に稼働済みのエネルギー貯蔵設備は連系出力552MWだが、今年5月末から12月までに稼働する予定の連系契約済みのプロジェクトは、1.2GWを超える。現時点での連系契約済み(稼働前)のエネルギー貯蔵プロジェクトの総出力は2.8GWに達している。

 データの中には連系出力200MW以上のプロジェクトが複数あるが、最大規模の案件は、同州ペコス郡に開発される202.46MWの「BRP ハイドラ・バッテリー・エネルギーストレージ・システム( BESS)」。開発するのは、テキサス州ヒューストンに拠点を置く、独立系発電事業者(IPP)のブロードリーチパワー(BRP)である。

 同社は既に、いくつかのエネルギー貯蔵設備をテキサス州で開発・導入済みで、現在同州のウイリアムソン郡とメイソン郡で、それぞれ出力100MW/容量100MWhの設備を建設している。今年中にこの2つのプロジェクトは稼働予定である。

 稼働予定と言えば、ブラゾリタ郡に建設中の「ギャンビット・バッテリー」と呼ばれるプロジェクトが今月には稼働する予定である。プロジェクトの連系出力は102.4MWであり、開発は電気自動車(EV)・蓄電池で有名な米テスラの子会社である。