現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

世界最大「太陽光+蓄電池」プロジェクト、契約単価「2セント/kWh」切る

200MWのメガソーラーに400MWhの蓄電池を併設

2019/07/11 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

全米で最大規模の公益事業者

 6月18日、米国・ロサンゼルス水道電力局 (Los Angeles Department of Water and Power: LADWP)の事業委員会が開かれ、「太陽光プラス蓄電池」プロジェクトの承認を求めるための発表が行われた。同局は、カリフォルニア州ロサンゼルス市で電力を供給している。

 LADWPのパワーシステム部のルイス・ティング氏によると、「7月に事業委員会で承認を受けた場合、この種のプロジェクトでは世界最大規模になる」と言う。プロジェクトの正式名称は、「エランド・ソーラープラス蓄電池センター」と呼ばれ、出力200MWの太陽光発電システムに、出力100MW(容量400MWh)のエネルギー貯蔵設備が併設される。

 LADWPは、1909年に設立され、カリフォルニア州のみならず、全米でも最大規模の公益事業者となる。年間の電力供給量は、現在2600万MWh以上に達し、200万を超える顧客に供給している。多くの地方公営事業者は主に配電事業を手掛けるが、 LADWPは発電から送電、配電事業を全て持ち、電力事業の一貫サービスを提供している。

 LADWPで資源総合計画(Integrated Resource Plan =IRP)マネジャーを務めるジェーム・バーナー氏が、事業委員会で今回のプロジェクトの詳細を公表した(図1)。

図1●LADWPの事業委員会で発表された世界最大規模の「太陽光プラス蓄電池」プロジェクト
(出所:LADWP)
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蓄電池は夜の4時間に放電

 この発表によると、同プロジェクトはLADWPとってエネルギー貯蔵を太陽光発電に統合した最初のプロジェクトで、 130以上の競争入札参加者からプロポーザルがあったという。その中には、米国で最低価格を記録する提案が含まれていた。

 プロジェクトの実施は2段階となっており、合計出力200MWの太陽光発電と出力100MW(容量400MWh)の蓄電池が2023年4月から稼働を開始する予定で、電力購入契約(PPA)の契約期間は25年となっている。注目された太陽光発電の契約価格は、MWh当たり19.97米ドル(1.997セント/kWh)で、エネルギー貯蔵の契約価格はMWh当たり13.00米ドル(1.3セント/kWh)と、太陽光と蓄電池の価格低下が一段と進んでいること印象付けた。

 バーナー氏は、「エネルギー貯蔵が同電力会社の電力システムの信頼性と運用性を改善し、既存の送電網の容量を最大化できる」と、エネルギー貯蔵の利点を語った。

 さらに、同氏は、太陽光と蓄電池の運用時間に関して、「太陽光発電は午前7時から午後7時までの日中に発電し、エネルギー貯蔵は同電力会社の系統システムの必要性に応じて、午後7時から午後11までの夜間の4時間に稼働する予定である」と説明した。

図2●LADWP用に導入される世界最大規模の「太陽光プラス蓄電池」プロジェクトのロケーション
(出所:LADWP)
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 2017年末時点で、LADWPは1.1GW以上の発電事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)から電力の供給を受け、さらに、同電力会社のサービス管轄内で320MW以上の住宅用の屋根置きを含む分散型太陽光発電システムが稼働済みである。

 バーナー氏は、「太陽が沈むと、蓄電池を併設しない1GW以上の(発電事業用の)太陽光発電所の埋め合わせをするため、ガス火力と水力発電が稼働するが、今後夕方以降のピーク時の正味負荷を「エランド・ソーラープラス蓄電池センター」で相殺できる。それにより、ガス火力をフルに運転しなくて済む」と、議会の委員長に説明した。

「2045年・再エネ100%」

 今年4月にロサンゼルス市のエリック・ガルセッティ市長は同市のサステイナビリティ(持続可能性)を高めるため、「グリーン・ニュー・ディール」を発表した。そこには、LADWPがまず「2025年までに電力需要の55%を再生可能エネルギーで供給する」、その先、この目標は「2036年までに80%」「2045年までに100%」と意欲的な数値が設定されている。

 ちなみに、同市が属するカリフォルニア州も州レベルの再エネ・ポートフォリオ基準(Renewable Portfolio Standard:RPS)を持っている。RPS法は州が全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネ電源から供給することを義務付ける 法律である。

 同州は、連邦政府のパリ協定離脱決定後の2018年に、「クリーンエネルギーへの100%転換」を実現するために、同州の電気事業者に対し、「2030年までに電力販売量の50%を再エネから調達すること」、さらに「2045年までに電力販売量の100%をカーボンフリー電源で調達すること」を新たに義務付けた。

 ロサンゼルス市の「2045年までに再エネ100%」を達成するために、太陽光発電の導入を大幅に拡大すると予想されている。「エランド・ソーラープラス蓄電池センター」はこの目標達成に重要な役割を担っており、バーナー氏によると、このプロジェクトが稼働を開始すると、LADWPの電力需要の7.1%を満たすと予想されているという。

 「エランド・ソーラープラス蓄電池センター」の発表が終わると、議会委員の一人が、「7年前、(LADWPの)最初の大規模太陽光発電所をネバダ州に導入した時、PPA価格はkWhあたり9.10セントだったが、(今回は)2セント/kWhを下回っている。テクノロジーの進歩の速さには驚くばかりだ」と語った。