特集

米ラスベガスのMGM、100MWのメガソーラーと「CPPA」(page 3)

ホスピタリティ業界で最大規模の電力購入契約に

2021/07/13 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト
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屋根上にも8MWの太陽光

 「地球環境を保護することはMGMにとってビジネス上の必須事項であり、クリーンエネルギーでホテルに電力を供給する革新的な方法を見つけることは、私たちの責任である」とMGMリゾーツ・インターナショナルの会長兼最高経営責任者(CEO)であるジム・マレン氏は、このプロジェクトの開発が発表された2018年に述べた。

 さらに、同氏は「MGMのポートフォリオに再エネを組み込むことで、MGMのカーボンフットプリントを根本的に削減できる」と言う。MGMは、米インベナジーとパートナーシップを組むことで、再エネ開発を進めてきた。米インベナジーは、太陽光発電を含む再エネプロジェクトの開発、建設、そして運営を手がけるリーディング・プロジェクト・デベロッパーである。

 「メガソーラーアレイ」プロジェクトは、春または夏の暑い日に、MGMのラスベガスにおける13の全カジノ・ホテルの日中における電力需要の最大90%を賄うことができる。ちなみに、13の施設には、計3万6000を超える客室がある。

 年間を通すとこのプロジェクトは、MGMの年間電力使用量の約35%である約30万MWhを発電すると予想されている。MGMは、インベナジーとの20年間に渡る長期で再エネ電力の購入契約(PPA)を通じて「メガソーラーアレイ」から発電された全電力を独占的に購入する。このように需要家企業が、発電事業者などと直接、電力購入契約を結ぶことをコーポレートPPA(CPPA)と呼ぶ。

 2021年、インベナジーは、「メガソーラーアレイ」の過半数の持分を、電力会社を傘下に保有する米国の持株会社であるアメリカン・エレクトリック・パワー(AEP)の子会社であるAEPリニューアブルズに売却した。これによりAEPリニューアブルズがプロジェクトの75%の持分を所有し、インベナジーが少数株主として、運用および保守サービスを実行する。

 MGMは、2014年には、同社運営のマンダレイベイ・ホテル&カジノのコンベンションセンター屋上に太陽光パネルの出力で6.4MWのメガソーラーを設置した。当時このサイズは世界で最大規模の屋根置き(ルーフトップ)システムとして注目を集めた。その後、さらに約2MWを増設し、合計出力8.3MWとなり、マンダレイベイ・ホテル&カジノの電力需要の25%を供給している(図4)。

図4●「マンダレイベイ・ホテル&カジノ」の屋根上に設置されたメガソーラー
(出所:MGM Resorts International)
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 再エネ100%を目指す企業の中には、自社の拠点から遠い地域ですでに稼働する再エネの環境価値を安く購入する企業も見られる。この手法は、再エネ利用の「近道」ではあるが、再エネを新たに増やすことに貢献する「追加性」に乏しい。

 MGMは自社の建物に太陽光発電設備を導入する「自産自消」的な方法と、自社の消費する電力が運ばれてくる送電網に新規のメガソーラーを接続する「地産地消」的な手法を採用している。こうした取り組みは手間がかかり「近道」ではないが、自らの関与で着実に再エネを増やしていくという意味で意義深いものになる。

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