現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

米最大の公益電力企業がメガソーラーに本腰、1.5GW開発へ

「地産地消型」で地域の顧客に脱炭素電力を供給

2021/07/28 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

加州を追う「サンシャイン・ステイト」

 米西海岸のカリフォルニア州は、太陽光発電の州別累積導入量で群を抜くナンバーワンで、米国太陽エネルギー協会(SEIA)の2021年第1四半期(1~3月)末のデータによると、同州の累積導入量は31.9GWに達する。

 カリフォルニア州は明らかに「ソーラー・ステイト(太陽光の州)」であるが、米国では「サンシャイン・ステイト」という公式のニックネームを持つのは東海岸のフロリダ州である。同州の2021年第1四半期末の累積導入量は、7.1GWとカリフォルニア州に比べ大きく遅れをとるものの、電力会社の積極的な再エネ開発によって徐々に西海岸の「競争相手」に近づきつつある。

 フロリダ州で大手電力会社のデューク・エナジー・フロリダは今年7月、同州内で4基の電力事業用メガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発を進めていることを発表した(図1)。

図1●デューク・エナジー・フロリダがフロリダ州に導入したメガソーラーの1つ。出力74.9MWの「ハミルトン太陽光発電所」
図1●デューク・エナジー・フロリダがフロリダ州に導入したメガソーラーの1つ。出力74.9MWの「ハミルトン太陽光発電所」
(出所:Duke Energy Florida)
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2028年までに1.5GWのメガソーラー

 ちなみに、デューク・エナジー・フロリダは、電力およびガス会社を傘下に保有する米国持株会社デューク・エナジーの子会社の1つである。親会社デューク・エナジーは、フロリダ州を含む、ノースカロライナ、サウスカロライナ、オハイヨ、ケンタッキー、そしてインディアナ州に顧客を持ち、米国公益企業としては最大規模の売り上げを誇っている。

 デューク・エナジー・フロリダは、2020年半ばまでに、フロリダ州に十分な太陽光発電を設置することで、年間15億ポンドのCO2排出量を削減する目標を持っている。具体的に、2022年までに700MW、そして、2028年までに1500MW(1.5GW)の太陽光発電を同州内に開発・導入する予定である。

 7月時点で、同電力会社は、フロリダ州内で建設中または稼働中の900MWを超えるメガソーラーを持っている。

 デューク・エナジー・フロリダは、今回発表された4基のメガソーラーを含む、全10基の新しいメガソーラーに推定10億ドルを投資する計画という。ちなみに、今回発表された4基のメガソーラーの出力は1基74.9MWで、4基の合計は224.7MWに達する。1軸追尾型にバイフェイシャル(両面発電)太陽光パネルが採用される。これらのプロジェクトの建設は2022年初頭に開始され、建設が完了するに約9〜12カ月かかるとしている。

 今回発表されたプロジェクトの1つである「ヒルドレス太陽光発電所」は、フロリダ州スワニー郡の635エーカーに渡る敷地に建設され、1軸追尾型の架台に約22万枚のバイフェイシャル太陽光パネルが使用される(図2)。

図2●デューク・エナジー・フロリダがフロリダ州に導入した地産地消型メガソーラーの1つ
図2●デューク・エナジー・フロリダがフロリダ州に導入した地産地消型メガソーラーの1つ
(出所:Duke Energy Florida)
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パネル設置枚数は5ミリオンに

 デューク・エナジー・フロリダは同社の「太陽光発電ポートフォリオ」に2024年までに、全体で20億ドルを超える規模を投資する予定で、目標の1500 MWの太陽光発電達成には、約500万(5ミリオン)枚もの太陽光パネルが使用される。

 同電力会社では、2020年2月に同州フォートホワイト郡に「コロンビアソーラー発電所」を導入する過程で、フロリダ州で最初のミリオン(100万)枚目の太陽光パネルの設置を達成した。さらに、今年3月に発表したディー郡の「フォート・グリーン発電所」(出力4.9MW)とシトラス郡の「ベイ・トレイル太陽光発電所」(74.9MW)の2つのメガソーラーが完成すると、同社は3ミリオン(300万)枚の太陽光パネル設置の達成となる。これら2つのメガソーラーも1軸追尾型の架台にバイフェイシャルパネルが使用される(図3)。

図3●デューク・エナジー・フロリダによるメガソーラー開発の一部
図3●デューク・エナジー・フロリダによるメガソーラー開発の一部
(出所:デューク・エナジー・フロリダの公表資料をもとに筆者作成)
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地産地消型で地域に貢献

 デューク・エナジー・フロリダのメガソーラーの開発は全て同電力会社が電力サービスを提供するフロリダ州内で行われている。つまり、全てのメガソーラープロジェクトから発電された電力は、同社の電力網を通って180万人の顧客すべてに供給される。

 今年4月に日本の電気事業連合会が発表した「電力各社における 再生可能エネルギーの開発について」によると、日本の旧一般電気事業者10社と電源開発によって開発・導入された太陽光発電は、 2019年度末で約720MW(国内外の導入実績)であった。これらの電力会社は現在も「国内外において、太陽光発電の新規開発や事業参画を進めている」とは書かれているが、その数はわずか3基(60MW、37MW、31MW)で、合計128MWに留まる。

 日本の旧一般電気事業者で群を抜く規模を持つ東京電力グループは、「2030年代前半までに国内外で600万~700万kW(6G~7GW)程度の新規開発を目指す」と記されている。開発量としてはかなり大きいものの、その内訳を見てみると、アジアを含む海外での水力・洋上風力発電がほとんどになっている。

 東京電力グループは、グローバルな視野でカーボンニュートラルを実現しようとしているとも言えるが、まずは自社の電力供給エリアでのエネルギー地産地消により、地元顧客への環境負荷を低減するなど、ローカルな取り組みを目指すべきではないだろうか(図4)。

図4●デューク・エナジー・フロリダがフロリダ州に導入した地産地消型メガソーラーの1つ
図4●デューク・エナジー・フロリダがフロリダ州に導入した地産地消型メガソーラーの1つ
(出所:Duke Energy Florida)
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