現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

米電力、調整力に世界最大級の蓄電池、ガス火力2基を閉鎖へ

2030年までに11GW超のメガソーラーを導入

2021/08/09 18:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

900MWhの巨大な蓄電池

 前回、このコラムで、米フロリダ州の大手電力会社がメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設を加速させ、同州が太陽光発電の導入量でカリフォルニア州を抜く勢いにある状況を取り上げた。今回もフロリダ州でのメガソーラープロジェクトを取り上げる。

 米電力大手フロリダ・パワー・アンド・ライト(Florida Power & Light 、以下FP&L )は6月22日、フロリダ州マネティー郡において、世界最大規模の電力貯蔵システム(Battery Energy Storage System )を収納するコンテナの設置が初めて行われたと発表した。この電力貯蔵システムは、太陽光発電に併設される。

 「マネティー・ソーラー・エネルギー・センター」と呼ばれる電力貯蔵システムは、最大出力409MW、総容量900MWhに達する巨大な電力を貯められ、これは、約32万9000世帯に2時間以上を供給するのに十分な電力量に相当する。この貯蔵システムは、同電力会社が同じマネティー郡に設置済みの出力74.5MWのメガソーラーの電力を充放電する(図1)。

図1●世界最大規模の電力貯蔵システムが併設されるFPLのメガソーラー
図1●世界最大規模の電力貯蔵システムが併設されるFPLのメガソーラー
(出所:Florida Power & Light)
クリックすると拡大した画像が開きます

電力系統の調整力を脱炭化

 電力貯蔵システムは、蓄電池モジュールとパワーコンディショナー(電力変換装置)、変圧器、制御システムなどを収納した132個のコンテナで構成されている。各コンテナには400もの蓄電池モジュールが搭載され、その重さは約38t、長さは約36フィート、高さと幅は11フィートとなっている。

 「マンティー」プロジェクトは変動する太陽光発電に対応する調整力を脱炭素化することにもなる。巨大な電力貯蔵システムから電力を供給することにより、FP&Lは、電力需要のピーク時などに調整力として待機している火力発電所を稼働させずにすみ、化石燃料の使用を回避し、さらにCO2 排出量を削減できる。実際、FP&Lは、このプロジェクトにより、1970年代に建設された2基の天然ガス火力発電所を閉鎖し、クリーンな再エネ電力に置き換える予定としている。

 このプロジェクトは今年後期には稼働する予定である。

 実は、同社は既に、2018年に当時米国で最大規模の太陽光に併設した電力貯蔵システム「バブコック・ランチ・蓄電池システム」を稼働させた。このプロジェクトは、フロリダ州で既に稼働していた「バブコック・ランチ・ソーラー・エネルギー・センター」と呼ばれるメガソーラーに、10MWの蓄電池システムを併設したものだ(図2)。

図2●FP&Lのメガソーラーに併設された蓄電池システム
図2●FP&Lのメガソーラーに併設された蓄電池システム
(出所:Florida Power&Light Company)
クリックすると拡大した画像が開きます

2030年までに3000万枚のパネル

 電力貯蔵システムで、米国最大、そして世界最大を達成しようとするFP&Lだが、太陽光発電でも大規模な開発に取り組んでいる。

 フロリダ州では、電力市場は規制下に置かれており、FP&Lは、同州最大の電力会社で、同州で560万を超える顧客に対して電力を供給している。ちなみに、FP&Lは、世界で最大規模の太陽光と風力の発電事業者である米ネクストエア・エネルギーの傘下にある。

 FP&L は、2009年に最初のメガソーラーを開発した。そして、「2030年までに最低30ミリオン(3000万)枚の太陽光パネルを導入する」というターゲットを掲げた「30 by 30(30年までに 30ミリオン枚)」という目標を2019年に発表した。

 これは、2030年末までに、累積11.7GW(1170万kW)を超えるメガソーラーを設置する計画になる。

 6月末時点で、FP&L はフロリダ州の20を超える郡で42サイトのメガソーラーを稼働させている。累積設置容量は3GW(300万kW)に達し、これによる温室効果ガス削減効果は、フロリダの道路から年間47万2000台のガソリン車を撤去するのに相当するという。さらに、この時点で、FP&L はフロリダ州で12ミリオン(1200万)枚以上の太陽光パネルを設置したことになり、「30 by 30」目標の40%以上を達成したことになる(図3)。

図3●FP&L が運営しているメガソーラーの一部
図3●FP&L が運営しているメガソーラーの一部
(出所::Florida Power&Light Companyの資料をもとに筆者作成)
クリックすると拡大した画像が開きます

4億ドルの電気代を節約

 ちなみに、同電力会社は今年第2四半期(4~6月)に合計373MWものメガソーラーを新規に完成・稼働させた。その中には、フロリダ州にあるNASAのケネディ宇宙センターに491エーカーに渡って設置されたディスカバリー・ソーラー・エネルギー・センター(74.5MW)も含まれる。このメガソーラーは約25万枚の太陽光パネルで構成されており、年間約1万5000世帯に電力を供給するのに十分なエネルギーを発電する(図4)。

図4●NASAのケネディ宇宙センターに設置されたFP&L のメガソーラー。出力は74.5MWに達する
図4●NASAのケネディ宇宙センターに設置されたFP&L のメガソーラー。出力は74.5MWに達する
(出所:NASA)
クリックすると拡大した画像が開きます

 FP&L のエリック・シラギー社長兼最高経営責任者(CEO)は、「米国内でFP&L よりも多くの太陽光発電を建設している事業者はいません」と、同社が、米電力会社のなかで最も太陽光発電の設置容量が多いことをプレスリリースで強調した。

 さらに、「我々は電気料金を国内で最低レベルに維持しつつ、クリーンで信頼できるエネルギーを顧客に提供することに専念しています。そして太陽光発電の導入開発を加速することで、この約束を今後も一貫して実現していきます。FP&L の顧客は、費用効果の高い太陽光発電への投資により約4億2100万ドル(の電気料金)を節約できる見込みです」と語った。

 FP&L は、来年初頭までに1500万枚を超える太陽光パネルを設置する計画で、これにより「30 by 30」目標の50%以上を達成することになる。