特集

米では大規模エネルギー貯蔵設備が「新たな電源」に(page 3)

2023年に累積「3GW」まで急拡大へ

2019/08/26 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト
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最大規模は「40MW」

 2019年5月時点で、最も大規模な稼働中のエネルギー貯蔵はアラスカ州とカリフォルニア州に導入された40MWの設備だ。1万3760個のニッケルカドミウム電池セル(素子)で構成されるエネルギー貯蔵設備を、2003年に設置を完了した。

 電力システムとオートメーション技術を持つABBと、電池メーカー仏Saftが、アラスカ州フェアバンクス一帯に電力を供給する協同組合ゴールデンバレーエネルギー協会(GVEA)向けに開発して納入した。

 40MW(14MWh)のこのシステムは、非常時、25MWの電力を15分間供給できる。これは、ほぼ1万世帯分の電力使用量に匹敵する。さらに、短時間であれば、最大46MWの電力を供給することも可能で、停電事故などが発生した場合、バックアップの発電機が稼働するまでの間、安定した電力を供給できるという。

 もう一つの40MWのエネルギー貯蔵は、カリフォルニア州サンディエゴの南部に位置するビスタに昨年末から稼働を開始した。開発、所有、運営するのは、米LS Powerで、カリフォルニア州で送電系統の運用を担う独立した非営利組織であるカリフォルニア州独立系統運用機関(CAISO)の系統に接続し、卸電力市場で、電力、容量、そして周波数調整などのアンシラリーサービスを提供する。

 2019年に入り、5月時点では既に86MWの発電事業用エネルギー貯蔵施設が稼働を開始し、2019年末までに、さらに、約120MWが稼働を開始する予定である。

 ちなみに、今年中に導入されるエネルギー貯蔵で最大規模になるのは、30MWの「トップガン・エネルギー貯蔵システム」だ。このシステムはカリフォルニア州サンディエゴをサービス管轄に持つ大手電力会社サンディエゴガス&エレクトリック(SDG&E)が、運用する。日中、需要を上回った太陽光の電気をエネルギー貯蔵設備に蓄え、夕方以降の需要ピーク時に放電し、電力の安定供給を目指す。SDG&Eは2016年に既に30MWのエネルギー貯蔵設備をサンディエゴの北部に導入済みで、計83.5MWの導入を計画している(図3)。

図3●カリフォルニア州大手電力会社SDG&Eによって2016年に導入された30MWのエネルギー貯蔵システム
(出所:SDG&E)
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