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太陽光の大量導入を支える「古いテクノロジー」!?(page 2)

「揚水式水力」が長周期のエネルギー貯蔵として再評価(前半)

2020/09/08 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト
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蓄電池の貢献は「ゼロ」!?

 米国でエネルギー貯蔵市場が立ち上がった当初は、調整力市場を通じて、短時間の充放電で生み出した調整力を系統運用事業者に提供する「アンシラリーサービス」がメインで、同サービス用には、「短周期」向け需給改善システムが活用された。

 近年では、カリフォルニア州やニューヨーク州など多くの州政府がエネルギー貯蔵設備の導入を義務化し、 昼間に太陽光発電からの電力を充電し、夕方のピーク時に放電する「シフト目的」の長周期対策での使用が拡大している。しかし、昼間から夕方以上のもっと長期の時間、または数日をカバーできるエネルギー貯蔵が注目され始めた。

 ちなみに、定格放電時間が0.5時間未満を「短周期」、2時間までを「中周期」、そして4時間以上を「長周期」と、一般的に分類されているが、カリフォルニア州の気候とクリーンエネルギー 目標達成に向け長周期エネルギー貯蔵テクノロジーを支援するカリフォルニア長周期エネルギー貯蔵協会(LDESAC) は、4時間周期を短周期としており、長周期エネルギー貯蔵は少なくとも「8時間」電力を供給できるものとしている。

 カリフォルニア・エネルギー貯蔵アライアンス (CESA) よると、エネルギー貯蔵は、同州における電力系統のピーク需要を満たすのにひと役買っているものの、リチウムイオン電池などのエネルギー貯蔵は、同州でも導入の初期段階にあるため、州全体の需要に対してわずかな容量しか貢献できていないという。

 カリフォルニア州で停電が発生しちゃ今年8月14日の電力供給を見てみよう。同州の送電系統を管理するカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)のデータによると、同日の最大供給出力は4万7051MWで時間帯は午後5時ちょうどだった。

 最大供給出力時の電源構成は、53%が天然ガス火力、22%が再生可能エネルギー、そして17%が隣接する州からの輸入電力となっており、エネルギー貯蔵(水力を除いた)による供給は「0%」だった。ちなみに水力は8%貢献している。1日を通してみても、全体の48%は天然ガス、19%は再エネ、同じく19%が輸入で、やはりエネルギー貯蔵は0%である(図2)。

図2●8月14日におけるCAISOでの時間別・テクノロジー別の電力供給出力(MW)(緑線=再エネ、肌色線=蓄電池、オレンジ色線=ガス火力、赤色線=州外からの輸入、水色線=大規模水力)
(出所:CAISO)
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