現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

加州、2045年に50GWの「長周期エネルギー貯蔵」

太陽光拡大で、日没後の電力需要を支える役割を期待

2021/12/23 17:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

四半期だけで「1GW」

 米国エネルギー貯蔵協会(ESA)とウッズマッケンジーによる最新の米国エネルギー貯蔵市場レポートによると、2021年第3四半期(7~9月) に商業運転を開始したエネルギー貯蔵施設の設置容量は、前年同期比2.4増の1141MW(1.141GW)に達し、四半期の導入容量で、過去最高となった。

 ウッズマッケンジーは、再生可能エネルギーを含む天然資源産業のリサーチ・コンサルティングサービスを提供する英ヴァリスクビジネスの子会社である。

 1.141GWのうち、実に約1GWは、発電事業用の大規模エネルギー貯蔵施設で、そのほとんどはカリフォルニア州に導入された。同州は、太陽光発電だけでなく、エネルギー貯蔵設備の導入量でも米国1位になっている。

 カリフォルニア州の独立系統運用機関・CAISO(California Independent System Operator)の最新のデータによると、今年末までに累計で約4GWの発電事業用大規模エネルギー貯蔵施設がCAISO運営の送電網に系統連系されるという。そのうち1GWは、太陽光発電など他の発電施設とのハイブリッド(併設)となり、残りの3GWはスタンドアローンと呼ばれるエネルギー貯蔵施設の単独設置となっている(図1)。

図1●2021年・月別・加州でのエネルギー貯蔵の累積導入量(MW)
図1●2021年・月別・加州でのエネルギー貯蔵の累積導入量(MW)
(注:青色=ハイブリッド、赤色=スタンドアローン、出所:Strategen Consulting)
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テスラやLGが加盟

 カリフォルニア州は、気候変動対策を含む環境政策に積極的で、2018年に議会で「ゼロエミッション電力目標を設定する上院法案100(SB100)」を可決した。

 「SB100」では、2030年までに電源構成の60%を太陽光発電など再エネからの供給に転換し、2045年までに電力供給の100%をゼロエミッション電源とすることを義務付けた。その目標達成に向け、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の開発が着々と進んでいる。

 同州でエネルギー貯蔵の導入政策を支援するカリフォルニア・エネルギー貯蔵同盟(CESA: California Energy Storage Alliance)によると、同州の温室効果ガス(GHG) 排出フリー電源への移行には、エネルギー貯蔵施設の普及が欠かせないとしている。

 CESAは100社を超えるメンバーから構成されており、その中には、米テスラ、米GE(ゼネラル・エレクトリック)、韓国LGなどリーディングカンパニーが含まれており、これらの企業にとってカリフォルニア州が重要であることがわかる(図2)。

図2●米テスラや韓国LGがメンバーであるカリフォルニア・エネルギー貯蔵同盟(CESA)
図2●米テスラや韓国LGがメンバーであるカリフォルニア・エネルギー貯蔵同盟(CESA)
(出所:CESA)
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2045年までに累積48.8GW

 CESAが、2021年12月16日に開催した「2022年カリフォルニア州エネルギー貯蔵市場の見通し」によると、同州は、2030年までに累計で1万4806MW(14.806GW)の発電事業用エネルギー貯蔵システムが必要になるという。そのうち、1GWは長周期変動に対応したエネルギー貯蔵施設(以下、長周期エネルギー貯蔵)となっている。

 さらに、CESAは、SB100を達成するには、2045年までに、累計で48.8GWの発電事業用エネルギー貯蔵システムが必要になり、このうち、4GWは長周期エネルギー貯蔵となっている。

 ちなみに、「長周期」の定義だが、CESA によると、米エネルギー省(DOE)は、「10時間以上の電力の供給」としており、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC : California Public Utilities Commission)は、「単一のエネルギー資源から少なくとも8時間にわたって最大容量で放電できる貯蔵資産」と定義している。

長周期エネルギー貯蔵だけで45~55GW

 一方、米ストラテジェン・コンサルティング(Strategen Consulting)がまとめた「カリフォルニア州におけるクリーンで信頼性の高いグリッドのための長周期エネルギー貯蔵」と題する市場分析レポートでは、長周期エネルギー貯蔵の必要性をさらに強調している。

 同レポートでは、2045年までに、長周期エネルギー貯蔵はカリフォルニア州のグリッド上の主要な需給バランス調整手段となり、統合的なエネルギー資源になると予測している。

 同州における再エネの利用可能性を評価したデータによると、カリフォルニア州では総需要の75%近くに匹敵する電力が太陽光発電から供給されるという。エネルギー貯蔵は、太陽光発電とグリットを「バランス」させるのに欠かせないという。

 大量の電力が太陽光発電から供給される場合、日中に発電された電力を1日当たり8〜12時間貯めておける貯蔵設備が必要になる。夕方以降、日が沈んで太陽光パネルの発電量が急減するにつれ、蓄電池の放電量を一気に増やし、夜間に、多い時には連続して12時間、その間の電力需要の大部分を供給する必要がある(図3)。

図3●2045年7月5日における加州の時間別・資源別・電力供給量(GW)
図3●2045年7月5日における加州の時間別・資源別・電力供給量(GW)
(注:オレンジ色=発電事業用太陽光発電、黄色=分散型太陽光発電、水色=風力、緑色=他の再エネ、青色=エネルギー貯蔵、黒点線=負荷、出所:Strategen Consulting)
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 ストラテジェン・コンサルティングの分析によると、カリフォルニア州では長周期エネルギー貯蔵の必要性が極めて高くなるという。そのため、同州においては、2030年までに長周期エネルギー貯蔵だけで累計で2〜11 GWの設備が必要という。さらに、2045年までにゼロエミッション電源100%を達成するためには、累計で45〜55GWもの長周期エネルギー貯蔵の導入が必要になると予測している。