「太陽光のみ」では大規模な貯蔵が必要
まず、最初のシナリオの前提は、2025年にテクノロジーの発展は低く、再エネ100%を太陽光発電のみで達成するケース。100%を満たすためには、出力66GWの太陽光発電が導入される。
当たり前だが、日没後に発電しない太陽光のみで100%の電力を賄うためには、電力貯蔵が必須となる。夏季の7月第4週目のある1日を例にとって見てみると、日中の余剰を蓄えるために出力41GW、そして夕方以降に放電するためには出力17GWの電力貯蔵が必要となる。
ペレズ氏によると、この規模で充電できるストレージは水力発電になるという。その週の電力供給の日内変動を緩和するためには、4時間分(容量230GWh)の電力貯蔵設備が必要になるという(図3)。
太陽光発電は日内変動よりも大きな問題がある。それは季節的なインバランス(需給の不一致)だ。ペレズ氏によると、この季節的インバランスを緩和するためには、なんと205時間(容量13.5TWh)分の電力貯蔵設備が必要になるという。
この大容量の電力貯蔵の必要性により、このシナリオのLCOEは、「177セント/kWh」と大変に高コストとなっている。ただ、このシナリオでは全ての発電量を電力貯蔵に充電するので、出力抑制率は「0%」である(図4)。