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発光でカラスに対抗、「包括委託」の草刈りが奏功、岡山の山あいの太陽光(page 4)

牛舎に集まるカラスが26枚のパネルを割る

2019/06/21 05:00
加藤 伸一=日経BP総研 クリーンテックラボ
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草刈りは「回数」ではなく「包括」で委託

 雑草の伸びも、予想を大きく超えていた。雑草が「伸びる」というよりも、「生い茂る」といった方がふさわしいほどという。

 エンバイオにとって初めて稼働した太陽光発電所で、雑草対策も手探りだった。発電所運用の実際を知るため、まず自分たちで体験し、適切な対応策を模索していく方針で、最初は園芸用のハサミで切ることからはじめたという。草刈りのために2泊したこともあった。

 当然ながら、広い敷地内をこうした手法だけで対処することは難しい。2年目以降は外部の企業に委託することにした。そこでも、試行錯誤があった。

 現在は、包括契約を結んで委託している。刈る時期や回数などは決めず、適切に刈って雑草を一定以下の状態に管理することだけを求め、一定額を支払う(図5)。委託先のユナイテッド・ソリューション(広島市)には、3年間は継続して委託する意向を伝えている。

図5●取材時にも草刈りをしていた
(出所:日経BP)
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 エンバイオによると、長期的な契約を前提にすることで、委託先が独自に工夫するなど、お互いにとって包括契約の利点を生かせるという。

 例えば、敷地内には、クローバーが根付き、高さ20cm程度に伸びている場所がある(図6)。ユナイテッド・ソリューションが自発的に植えたもので、クローバーの効果で雑草が減れば、その分、同社の作業が減ることになる。

図6●根付いたクローバー
(出所:日経BP)
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 エンバイオが求めているのは、除草回数ではないため、カバープランツ(被覆植物)の植栽などの工夫で草刈り作業を減らせれば、自社の利益が増加する。メガソーラー運用にとっても、草刈り回数の減少は理想的としている。

 この発電所の草刈り作業で留意しなければならないのは、電線の損傷である。電線を地中に埋設せず、地上などを這わせる設計としたからだ。雑草が生い茂げると電線が隠れて見えにくくなる。このような場所で、刈り払い機を使い、電線を切断してしまう事故は、各地の太陽光発電所で起きている。

 そこで、電線の損傷に留意すべき場所では、旗などの目印を立てている。

 雨水の流れ道ができやすい場所があることも課題となっている(図7)。地面を削るだけでなく、土が流れ出ることで、基礎を支える地耐力が下がるリスクもある。現在は、部分的に、板などで柵を設けたり、土嚢を敷き詰めたりすることで防止している。今後、樹脂製シートを使った新たな排水対策の採用も検討している。

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図7●柵と土嚢で雨水の通り道ができるのを防いでいる
(出所:日経BP)
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