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「鉄粉」から「オーロラ状」変色までスッキリ除去、カー洗浄のノウハウ活用

通常では落ちない、太陽光パネルの強固な汚れに対応

2020/07/08 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 固定価格買取制度(FIT)がスタートしてから丸8年が経ち、屋外に並べられた太陽光パネルが風雨にさらされてきた期間も長くなってきた。年月を重ねるにつれ、太陽光パネルの表面の汚れに関心が集まるようになってきた。

 一般的な太陽光発電所では、パネルの表面に土埃などが溜まったり、鳥のフンで汚れることはあっても、日本では適度な間隔で雨が降り、ある程度は流れ落ちる。

 それでも落ちない汚れが部分的に残る。それが徐々に固着して範囲も広がり、発電量に徐々に影響を及ぼすこともある。発電所の巡視や点検のついでに、太陽光パネルの表面で残りそうな細かな汚れもまめに除去すれば根本的に解消できるが、そのような運用は手間がかかり、現実的ではない。

 そうした汚れを落とす需要に応じて、まず太陽光パネル表面の比較的、軽度な汚れを純水や中性洗剤を使って落とす洗浄サービスが立ち上がった。数年に一度の間隔で、雨水では落ち切らない汚れを念入りに洗浄する需要は、国内各地の太陽光発電所で見込め、比較的安いコストで提供できる。

 発電量を最大化することをウリにしたO&M(運用・保守)サービスや、安定稼働している発電所を売買するセカンダリー市場における評価額の向上を目的とする活用例も出てきている(関連コラム1同コラム2)。

 こうした汎用的な洗浄とは異なり、最近では、特定の環境でしか生じないような、重度な汚れに対応する技術や製品、サービスも実用化されるようになってきた。

 特定の環境や場所でしか生じない汚れのため、対象となる太陽光発電所の数は限られる。しかし、発電量のロスが大きく、背に腹は代えられないような状況になっている発電所も出てきた。手間やコストがかかる方法でも経済的な利点が大きく、継続的に利用する可能性が高い。こうした需要を見込んだ製品やサービスとなる。

 例えば、鉄粉の固着がある(図1)。工業地帯の太陽光発電所に特有の悩みで、一般的な立地条件では生じない。

図1●固着して赤茶けた鉄粉を洗い落とした
(出所:エネルギア・ソリューション・アンド・サービス、SSG)
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 中国電力の子会社、エネルギア・ソリューション・アンド・サービス(ESS)が運営しているメガソーラー(大規模太陽光発電所)も、こうした鉄粉の固着に悩んでいる発電所の1つだった。ESSは2020年5月までの約10カ月間をかけて、太陽光パネルの表面に赤茶けた錆のように固着した鉄粉を除去した。

 鉄粉溶解力が高い洗浄剤を使った。パネル表面に所定の量を塗って数分間置くと、固着して赤茶けた鉄粉が泥水のように液化する。これを水で洗い流すことで、きれいな状態に戻った。

 このメガソーラーでは稼働当初から、鉄粉が太陽光パネルに降り積もり、そのうちに赤茶けた錆のように固着していた。ESSによると、鉄粉の固着により、年率で8~9%も効率が下がっていくような印象で、最終的に発電量のロスは30~40%にも上っていたとみている。

 ESSは今回の鉄粉の除去に、イツワ商事(大阪市中央区)、SSG(香川県綾川町)と共同で取り組んだ(関連コラム)。洗浄剤は、固着した鉄粉の除去に適した専用品を使った。

 この洗浄剤は、車体向けの表面・洗浄剤に強みを持つパンサーフェス(大阪市淀川区)が開発し、イツワ商事を通じて供給した。

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