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牛舎近くの岡山・美咲町の太陽光、ロボット洗浄の効果は?(page 2)

売電額の1%弱で約9000枚を洗い、売電額は1割弱増える

2020/07/22 05:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 そして今回、汚れへの対応として、太陽光パネルの表面を洗った。共同開発元でもあるネクストエナジーが洗浄作業を担当した。

 洗浄に際して、ネクストエナジーは、「年間売電額の約1%の洗浄コストで、洗浄後の年間売電額が1割弱増える」という試算を示した。エンバイオHDにとっても利点を感じる内容だったことから、洗浄を委託した。

 同発電所の固定価格買取制度(FIT)による売電単価は40円/kWh(税抜き)である。洗浄によって、2020年の売電額は約1億1670万円に盛り返すと算出した。2019年の約1億1000万円に比べ、約670万円の増収になる。

 エンバイオHD、ネクストエナジーともに、この発電所の稼働後の状況から、太陽光パネルの汚れによる影響が小さくないと考えていた(図3)。

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図3●「PVNext EBH 美咲町発電所」の発電量、日射量、PR値の推移
2018年10月のPR値(赤丸で囲まれている部分)は、何らかの計測のトラブルによる異常値(出所:エンバイオHD、ネクストエナジー・アンド・リソース)
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 「発電できた可能性のある最大発電量」と「実際の発電量」の差を示す、システム出力係数(Performance Ratio:PR)の値も、パネルの汚れによる影響の可能性を示していた。この発電所では、所内の日射計の計測値を基に「発電できた可能性のある最大発電量」を日ごとに試算し、パワーコンディショナー(PCS)単位での「実際の発電量」と比較している。

 PR値は、太陽光パネル単位で表面温度や日射量、風の状態などを正確に計測し、それらを基に算出しないと、実測値と誤差が生じる。季節による変動もある。場合によっては日射計のトラブルとみられる異常値を示すこともある。そこまで加味して多数のセンサーを導入して計測している発電所はまずないので、あくまで参考値となる。

 そこでネクストエナジーでは、同発電所のPR値の推移から近似曲線を作成した。その結果、変動要因による幅を考慮してもPR値が徐々に下降している傾向がわかった。

 このPR値の推移のグラフを見ると、例年、2~4月にかけては比較的良好で、5~12月ころは平均的だが、1月にガクンと落ちている。こうした月ごとなどの短期的な傾向はあまり参考にならず、長期的な傾向で捉えるのに適した指標という。

 ネクストエナジーによると、季節性などの例として、この発電所で毎年1月が極端に低いのは積雪の影響が大きいと推察している。

 5月以降、日射量の多い時期にそれほどPR値が高くならないのも、気温が高いために太陽光パネルの温度が高くなり、結晶シリコン型の太陽電池セル(発電素子)の効率が下がることや、雑草や落葉による影などの要因も考えられるという。

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