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予防保全を徹底、理想は「変動要因は気象のみ」、オリックスのO&M子会社(page 4)

洗浄を年1回、パワコンの基幹部品まで備蓄

2020/11/25 07:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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IGBTまで在庫を持ち、一次対応も自社で

 発電設備に不具合やその兆候を発見すると、迅速に対応する。その深刻さの度合いによって、すぐに交換するのか、様子を見るのかといった判断を下す。

 すぐに交換する場合に備えて、同社では発電設備の在庫を十分に持つようにしている。これによって、O&Mを受託している発電所に設備面のトラブルが起きた場合でも、売電損失を最小化する。

 もちろん、国内の他の多くのO&Mサービス企業でも、こうした対応として、太陽光パネルについては備蓄している。

 同社ももちろん、太陽光パネルは備蓄している(図6)。

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図6●不具合を発見した太陽光パネルの交換の様子
(出所:オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント)
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 ここから先が、ほとんどない対応になる。接続箱や、パワーコンディショナー(PCS)の資材・部材まで多く保有している。これらを発電所内の倉庫、全国各地の倉庫で保管し、故障時には迅速に対応する。

 PCSでは、分散型の機種については、交換用の本体を多く確保している。これは、分散型の機種の場合、故障時には部分的な交換ではなく、本体をそのまま交換する対応が多くなるためである。

 分散型は、製品の特徴上、集中型と比べると、ある程度の頻度で故障が起きる。故障率が想定以上に高い場合には、メーカーと故障率によって瑕疵担保責任を変えるような内容を契約に追加してもらうこともある。

 集中型については、フィルター、ファン、表示用ディスプレイだけでなく、スイッチギア、IGBT(直交変換を担うパワー半導体)といった基幹部品まで、在庫を確保している。

 こうした基幹部品まで在庫を確保することは、メーカーの協力がないと実現できない。同社がO&Mを受託している案件で採用されている集中型の機種は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製が多く、同社の協力を得て実現している。

 スイッチギアやIGBTは、PCSメーカー以外は開けられない場所に設置されている。この場所を開けると、それだけで保証の対象外とするメーカーがほとんどで、点検や交換の際には、メーカーの技術者が現地に来て作業することになる。

 それでも在庫を自社で保管するのは、大量生産品ではないことから、万が一、メーカーが在庫を切らせているタイミングを想定したリスク管理である。在庫がない場合には、交換までに数カ月を要する恐れもある。その間の集中型PCSの稼働停止は、他の設備に比べて売電ロスへの影響が大きい。

 そこで同社では、メーカーに在庫がなかった場合に、自社で保管しているものを使って、メーカーの技術者に交換してもらうことを想定している。これによってPCSの停止による売電ロスを最小化できる。

 TMEIC製の機種に何らかのトラブルが起きた際のいわゆる「一次対応」についても、TMEICの技術者に来てもらうことなく、自社で対応できる。TMEICによる一次対応の教育を受けた技術者が対応する。

 ここまで踏み込んだ対応が可能なO&Mサービスは珍しい。

 電気主任技術者の有資格者も、社内に多く抱えている。8月時点で合計で50人おり、このうち第一種が2人、第二種が20人と有資格者数が少ない種別も含む。

 本社に6人が在駐しており、このうち第二種が2人いる。そのほかは全国各地の拠点に在駐している。

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