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予防保全を徹底、理想は「変動要因は気象のみ」、オリックスのO&M子会社(page 5)

洗浄を年1回、パワコンの基幹部品まで備蓄

2020/11/25 07:00
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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見える化の成果は「標準プロセス化」や経営効率化にも

 こうしたO&Mサービスで得た太陽光発電所の状態は、デジタル化・見える化している。予防保全を重視していることから、発電設備ごとの状態なども、今後、より細かく把握できるシステムに進化させていく。

 発電所の状況を網羅的に把握できれば、それらのデータと気象情報をかけあわせれば、時間単位の発電量の予測などを、より高い精度で実現できる。いわば「変動要因が気象のみ」というような運営に近づく。

 短時間の単位で高精度に発電量を予想できれば、連系先の系統の安定化のほか、火力発電の予備力を減らせるなど、電力インフラ全体の運営コストの低下にもつながり、新たな価値も加わる。社会的な意義も高い。

 もし、高精度な発電量の予測と、より細かなPCSの遠隔制御ができる太陽光発電所が増えてくれば、現在、九州で実施されているような出力抑制は、本当に抑制が必要な時間と量だけ抑制する運用も可能になる。そうなれば、発電事業者にとっても相対的に抑制量が少なくて済む。

 OREMでは、こうした「見える化」の成果を、売電収益の最大化やO&Mの最適化だけでなく、自社の経営効率の向上にも活用していく(図7)。

図7●運用に必要な要素を網羅的に把握し、変動要因の最小化とともに、標準プロセス化を目指す
(出所:オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント)
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 AMやO&Mにかかわる従事者側の動きや対応に関する面も、ITを活用してデジタル化・見える化している。

 例えば、当初は手探りでの対応が必要など、ノウハウを確立していくまでは、専門の知見や特別な能力を持つ従事者が深くかかわる必要がある。

 それが「見える化」され、一般的な作業のレベルにまで落とし込めれば、誰でも対応できる状況に近づく。実際には、「誰でも対応できる」わけではないが、専門の知見や特別な能力を持つ従事者が深くかかわる必要性を少なくしていく。

 このように、AMやO&Mにかかわる要素それぞれを「標準プロセス化」や「ルーチン化」し、可能な限り誰でも可能なものに近づけていくことを目指す。専門知見や特別な能力をもつ、いわゆる「トップ人材」を、その専門性や能力を本当に生かすべき業務のみに専念させていくのが理想という。

 太陽光発電では、まだ確立されていない分野も多く、時間とともに「トップ人材」が優先的に取り組むべきテーマは変わってくる。その変化に柔軟に合わせられるような適切な従事者の配置を目指している。

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