異常の自動分析機能で、大きな効果を上げた例がある。力率制御への対応に伴う売電ロスだった(図4)。千葉県にある2カ所の太陽光発電所で生じていた。
この2カ所の太陽光発電所では、電力会社から力率90%の条件が課されている。系統の電圧上昇を抑制するのが目的で、無効電力を系統側に送り込む制御を指す。
例えば、PCSから500kWを系統に送電できる太陽光発電所で力率90%が指定されている場合、PCSの出力の制限が450kWになる。出力が450kWに達するまでは実質的に制限はかからず、450kW以上を出力できる日時に、450kW以上分の売電収入の機会を損失する。
この2カ所の太陽光発電所では、自動分析の結果、力率の指定による無効電力に伴う売電ロスが、過剰に多いという指摘が警報で送られた。似たような条件の他の発電所と比べると、明らかに無効電力が原因の売電ロスが多かった。
そこで、原因を調べると、PCSの設定に誤りがあることがわかった。力率に合わせつつも効率的に運転し、力率制御に伴う売電ロスを相対的に少なくするための機能の設定が、力率90%ではなく80%というより厳しい条件を想定した設定となっていた。
春と秋の日射の特に良い日の数時間のみに生じていたロスで、この自動分析機能がなければ発見できなかったという。
2020年12月に設定を変えた結果、2つの太陽光発電所で年間合計約200万円の売電ロスの解消につながった。