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フェンスを守る新・イノシシ対策、蹄にネットが絡まり嫌気

上からの草刈りも可能、中国電力グループが製品化

2021/10/22 10:50
加藤 伸一=日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ
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 イノシシに悩まされている太陽光発電所は多い。フェンスの下の地面を掘って容易に敷地内に入り込んでしまう。

 侵入されても、発電設備を損壊することはほとんどないが、なかには敷地内に居残り、点検員が遭遇して襲われた場合、重傷を負うことがある(関連インタビュー:「除草は獣害対策にも有効、イノシシやクマに遭ったら防御姿勢を」、長岡技術科学大・山本准教授に聞く)。

 地面を掘り込む行動もリスクが高い。フェンスを支える基礎周りの土がなくなって傾いたり、法面が掘り取られると崩れやすくなったりする。防草シートを敷いていた場合、破られることも多い(図1)。

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図1●フェンス際を掘り込まれたり、防草シートが破られたりする
図1●フェンス際を掘り込まれたり、防草シートが破られたりする
(出所:日経BP)
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 こうしたイノシシ対策として、樹脂のネットを使った手法が効果を上げている。フェンスを守るためにとくに有効なため、太陽光発電所での活用が増えそうだ。

 樹脂のネットを、地面から少し浮かせて設置する(図2)。イノシシがこの上を通ると、メッシュに蹄が絡むことを嫌がって、その場所を避けるようになる。

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図2●地面からネットを浮かせて設置
図2●地面からネットを浮かせて設置
(出所:エネルギアL&Bパートナーズ)
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 開発・製品化したのは、中国電力グループのエネルギアL&Bパートナーズ(広島市)で、「猪(しし)ふまず」という名称で販売している。

 同社がこれを製品化して販売し始めたのは、2つの理由による。中国電力グループなどの発電所や変電所などのイノシシ対策として比較的有効な手段であること、さらに、製造に際し、障害者に雇用の場を提供できることだった。

 開発や事業化を主導した同社の不動産事業本部 プロパティマネジメント事業部 緑化グループの一瀬泰啓担当副長によると、「猪ふまず」は、障害者が働く施設や企業による製造に適するように設計した。

 その点が特許にも反映され、自動化や大量生産および模倣から障害者の仕事を守っているという。障害者の作業所で製造することで、作業所の経営に貢献し、障害者の収入増にもつながる。

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