千葉県千葉市若葉区に連系出力499.5kW、太陽光パネルの出力約748kWのいわゆるミドルソーラーがある(図1)。
開発・運営しているのは、土壌汚染対策を手がけるエンバイオ・ホールディングス(エンバイオHD)である。元々、自社で所有していた土地を活用し、2021年4月に売電を開始した。
このミドルソーラーでは、一般的な太陽光発電所で採用されてきた雑草対策とは異なる、さまざまな新たな手法の雑草対策が試みられている。
それはこのミドルソーラーの立地による。敷地の北から西にかけて、竹が多く繁茂している。以前、この竹はなかった。急速に侵食してきて、気づいた時には竹林の隣になっていた。
クローバーを植えたり、除草剤も数種、活用している。これらは従来の太陽光発電所でも採用されている。
特徴的なのは、隣の竹林を生かした手法である。竹林は、里山が荒れると繁茂することが多く、伐採して燃やすと灰分が多くて焼却炉を傷めるなど、全国各地で対応が課題となっている。
そこで、伐採した竹を燃やさず、粉砕して製造したチップを地面に敷き詰めて、雑草を防ぐという手法に取り組んでいる。
竹の粉末には防草効果があるとされる。竹による侵食を防ぎつつ、雑草対策にもなれば一石二鳥になる。
粉砕機を購入し、ミドルソーラーの敷地内に常備している(図2)。これを使って、刈った竹をその場で粉砕し、チップ化してミドルソーラーの敷地内に撒く。
並行して防草シートも試す。3種類の防草シートを試験的に敷設し、これと竹チップを併用する。紫外線への耐性がとくに弱く、製品寿命が短いシートの上に竹チップを敷き詰め、防草シートの寿命を延ばして費用対効果を高めることを期待している。
また、竹の粉末を原料の1つとしている雑草対策もある。この手法に、ミドルソーラー内でチップ化した竹を使えれば、里山管理で処分に困る竹を使った新たな事業に広がる可能性もある。試験的にこの手法も実施している(図3)。
ミドルソーラーで試した、竹の粉末を原料の1つとしている雑草対策とは、土と海水起源の固化材に竹の短繊維を混ぜ、水を使って固める「雑草アタック」である。日本乾溜工業(福岡市東区)が販売している。
セメント系などの材料を使わず、天然素材だけを使う。このことから、日本乾溜工業では相対的に環境負荷の少ない防草・簡易舗装の手法としている。
舗装材としても機能するのは、海水中のにがり成分(酸化マグネシウム)を入れることで固化することによる。
竹の短繊維は、補強材や結束材としての役割を担っている。土と海水起源の固化材だけでは固くなりすぎてしまい、しなやかさに欠け、割れやすくなる。そこで、竹の短繊維を混ぜることで、引っ張りや曲げといった荷重に強くしている。