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リモートワークで電子署名の導入を検討しています。注意点は?(page 3)

<第70回>太陽光発電コンサル会社で起きた電子契約に関する紛争の判例解説

2021/01/07 23:30
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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「準消費貸借契約書」は無効?

 被告Y1は、本件準消費貸借契約書には、被告太陽光コンサル会社の実印によって顕出された印影があるが、これは、当時、被告太陽光コンサル会社の実印を所持していた原告が、被告太陽光コンサル会社に無断でその実印を押印したことによるものであるから、本件準消費貸借契約書は被告太陽光コンサル会社の意思に基づき作成されたものではなく、したがって、本件準消費貸借契約は成立していない、と裁判上主張しました。

「電子署名」も無効か?

 本判決が注目されている点が、電子署名についても無効を主張している点です。

 被告Y1は、本件相互極度貸付契約書上の被告太陽光コンサル会社名下の電子署名は、原告が被告太陽光コンサル会社に無断で行ったものであるし、原告から被告太陽光コンサル会社の銀行預金口座への合計7億1205万2275円の送金も、上記口座の通帳を管理していた原告自身が行ったものであり、被告太陽光コンサル会社は上記送金に関与しておらず、その根拠及び上記金員の用途も知らない。したがって、本件相互極度貸付契約は成立しておらず、これに基づく被告太陽光コンサル会社への金員の交付もないから、本件旧債務は存在しない、と主張しました。

東京地裁の判決は?

 東京地裁は、「被告太陽光コンサル会社は、太陽光発電事業を行うための資金として、原告から合計7億1205万2275円の送金を受け(被告太陽光コンサル会社が銀行預金口座の通帳などを原告に預けていたことは、同口座への送金などによる金員の受領権限も原告に委ねたものと解し得る)、その後、同送金に係る金員が本件相互極度貸付契約に基づく貸金であることを前提とする本件清算合意に応じた上、上記のとおり、上記金員の残金である本件旧債務を目的とする本件準消費貸借契約の締結に応じたものであって、本件相互極度貸付契約が存在することを前提とした行動を一貫して取っていたのであるから、本件相互極度貸付契約書上の被告太陽光コンサル会社名下の電子署名は、被告太陽光コンサル会社の意思に基づくものであると認めるのが相当である。

 したがって、被告太陽光コンサル会社は、原告との間で、本件相互極度貸付契約書により本件相互極度貸付契約を締結し、同契約に基づき、原告から貸金として合計7億1205万2275円の交付を受けたものであるから、本件旧債務が存在しなかったとは認められない」と判示し、電子署名は有効である旨の判断をしました。

東京地方裁判所の外観
(出所:日経BP)
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