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工事遅延により太陽光発電事業を断念、施工会社の法的責任は?(page 2)

<第71回>事業の断念後、損害賠償請求を巡る訴訟判決の解説

2021/02/04 17:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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太陽光パネルの納品遅延

 太陽光発電施設に関する建築請負契約(本件契約1)には、「特約1」として「太陽電池モジュール(太陽光パネル)、パワーコンディショナー、架台などは、原告から被告への部材支給品とする」があり、太陽光パネル5800枚のうち4000枚を調達しましたが、残りの1800枚については最後まで調達できませんでした。この理由は、太陽光パネルの売買契約を締結していた売主a社が破産手続の開始決定を受けたことによるものでした。

 東京地裁判決は、太陽光パネルなどの本件工事に必要な部材は被告の責任で本件各土地に搬入することが予定されていたというべきであるとして、原告の責めにはせず、太陽光パネルが一部納品遅延となっても架台の工事などには取りかかれたであろうから、全く着工しないのは、被告による工事遅延である旨を判示しました。

 この点についての判示は、以下の通りです。

 (ア)「本件契約1」で本件パネルのみならず架台も原告から被告への部材支給品とされているところ、「本件契約3」では架台については原告が被告から購入してその代金を支払うこととされていること。

 (イ)工事の発注者にすぎない原告が、工事に用いる部材を具体的に選定し納入先やその時期等の判断をし得るとは考え難いこと。

 (ウ)「本件契約3」において、工事用資材の本件各土地などへの搬入に係る費用は被告の負担とする旨が定められていること

 (エ)実際にも、a社が本件パネルを発注した際の発注書の記載内容に照らすと、上記a社の発注は被告の関与の下で行われたと認められることからすれば、ここでいう「部材支給品」とは、原告がその購入に係る契約の当事者となって代金支払義務を負担すべき資材を意味することを超えて、原告が本件各土地に搬入すべき責任を負う資材を意味すると解することはできないというべきであり、本件パネルは原告が調達することになっていた旨の被告代表者の供述は信用することができない。

東京地方裁判所の正門
(出所:日経BP)
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