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工事遅延により太陽光発電事業を断念、施工会社の法的責任は?(page 3)

<第71回>事業の断念後、損害賠償請求を巡る訴訟判決の解説

2021/02/04 17:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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材料が揃わなくても着工しなければならないのか?

 工事業者の立場からすると、工事途中に材料が調達できず、工事中断となり、多数の職人に休業日分の補償をしなければならなくなるなど、損害が大きくなってしまうので、材料調達の目処が立ってから工事計画を立てたいという事情はよく分かります。

 判決文からは、このあたりの事情が主張されていないようなのですが、太陽光発電施設の工事では、職人をあらゆる地域から集めてきて、工事中断で一度、リリースしてしまうと、工事再開の場面で職人を集めてくることが出来なくなってしまい、工事が遅れてしまうので、工事中断中も補償をして、職人に他現場に出ないように引き留めるケースがあります。

 この点について、東京地裁判決は、「本件パネルが全部揃わなければ架台設置工事を開始できないと認めるに足りる証拠は存しない(この点についての被告代表者の供述は、具体性を欠く上、何ら裏付けがなく、採用することができない)」と判示しています。

太陽光発電所の着工までには様々なハードルがある
(出所:日経BP、画像はイメージで本文内容とは直接、関係しません)
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