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EPC契約を締結する前段階で、締結義務はあるのか?(page 2)

<第83回>太陽光事業で、EPC契約などの締結義務が否定された最新判例

2022/03/22 05:00
匠総合法律事務所 弁護士・秋野卓生、弁護士・丹羽響
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合弁会社設立に際して確認書を作成

 以上の経緯で太陽光発電事業のための合弁会社が設立されましたが、本件では、設立に際して、原告、被告合同会社及びその他関係者間において、次のような確認書(以下「本件確認書」)が作成されていました。

1、被告合同会社登記後、速やかに原告に2500万円(税別)の支払を行う。

2、被告合同会社登記、同同意書に押印に当たり、原告に次の業務を担当させる。また、予算組、及び同執行、支払条件については、別途原告からの提示を基本とする。

(1)原告を被告合同会社のEPCとして担当させる。

(2)予算案は、@166円/W(材・工込)を基本とし、上記のとおり、原告の見積りに変えることが出来るものとする(但し、造成別、変電所費用別)。

3、今後、締結する被告合同会社と原告の「地位の移転」関係一切の書面については、上記1、2の履行を条件とする。

 原告は、被告合同会社設立後、本件確認書を前提に、本発電事業のEPC契約に関する協議を被告代表社員に対して持ちかけたものの、被告代表社員側はこれに応じることはありませんでした。

 そのため、原告は、本件確認書により、被告合同会社には、原告が提示する見積りどおりの工事代金額によって、発電システム全体の設計、太陽光パネル等の部材や資材等の選定・調達、太陽光パネルの設置を含む発電設備工事の施工・監理までの一連の工程を原告に対して一括発注する義務、又は、原告が発電設備設置工事について工事単価を1W当たり166円とすることを基本とする見積書を提出した場合には、当該見積りにかかる工事を原告に発注する義務があると主張しました。

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