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EPC契約を締結する前段階で、締結義務はあるのか?(page 4)

<第83回>太陽光事業で、EPC契約などの締結義務が否定された最新判例

2022/03/22 05:00
匠総合法律事務所 弁護士・秋野卓生、弁護士・丹羽響
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裁判所は3つの観点で検討

 では、本件では、どのような点から、本件確認書ではEPC契約などの締結義務が定められていない(合意されていない)と判断されたのでしょうか。

 裁判所は、大きく分けて、以下の3つの観点から検討を行っています。

(ア) 本件確認書の文言

(イ) 締結予定の請負契約の内容に関する協議状況

(ウ) 本発電事業が実現する蓋然性

 本判決は、あくまでも個別の事例判断ですが、契約書や合意書の解釈方法という観点からは、他の件にも通ずるところがありますので、以下で確認したいと思います。

 まず、(ア)本件確認書の文言についてですが、裁判所は、次のように判示しています。

 「しかし、本件確認書では、EPC契約の内容は何ら特定されておらず、工事費用についても単価が1W当たり166円とされる以外のことは定められていないし、『業務を担当させる』、『EPCとして担当させる』という文言自体、『義務を負う』とは異なる。したがって、本件確認書の記載は、被告茂原ソーラーパーク(引用者注:被告合同会社)が、原告とEPC契約を締結して、原告の見積りにより本件発電事業のEPCを一括発注する義務又は原告が提出した工事単価1W当たり166円による見積書に係る発電設備設置工事を発注する義務を負うことを直ちに意味するとはいえない」

 裁判所は、本件確認書の文言や規定から、これが、直ちに法的義務を課すことを意図したものとは解することができないと判断しています。契約書や合意書のみならず、法令についても、その解釈の足掛かりとなるのは、規定された条項そのものです。文言を離れて規定内容や合意内容を解釈することは、解釈者のフリーハンドを認めることになるため、本件でも、裁判所は、文言そのものを確認しているものと考えられます(もっとも、法的文書について、常に文言から形式的に判断されるわけではない点には留意が必要です)。

東京地方裁判所の外観
東京地方裁判所の外観
(出所:日経BP)
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