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メガソーラー建設巡り施主と施工者が紛争、発電事業の譲渡が無効に(page 3)

<第74回>メガソーラー売却を「通謀虚偽表示」により無効とした最新判例

2021/05/11 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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発電事業譲受会社にメガソーラー事業を譲渡

 発電事業譲受会社は、本件調停に代わる決定が確定した2016年12月20日に設立されました。裁判所は、「発電事業譲受会社の設立及び運営(本件各譲渡に係る各種手続を含む)は、いずれもDが主導して行ったものと推認するのが相当である」と判示しています。

 本判決は、その上で、「破産会社は、本件請負契約に関する施工会社との紛争に起因して資金繰りが困難となっていたことから、地主が本件地上権に基づいて、施工会社に対し本件高圧設備の撤去を求めることによって、本件請負契約に関する施工会社との間の紛争を自身に有利に進めることを企図して、地主との間で、本件地上権の設定契約を抹消することを仮装したものの、結局、破産会社が本件高圧設備による売電収入が得られない中、本件請負契約に関する施工会社との間の訴訟では自身の主張が認められず、本件調停に代わる決定により、2017年12月31日までに請負代金6億7791万2865円を施工会社に支払う義務を負うことになったというのである。その後、発電事業譲受会社が、本件地上権を譲り受けたとして、施工会社に対し本件高圧設備の撤去を求める訴えを提起している(第2事件)のであり、本件地上権を破産会社から移転した上で施工会社に対し本件高圧設備の撤去を求めるという限度では、破産会社と地主との上記の仮装と類似の構造となっている」

 「以上の事実からすれば、発電事業譲受会社の設立に関しては、破産会社の代表者であったDが、本件請負契約に基づく施工会社からの請負代金請求に対抗すべく、地主との間の通謀虚偽表示によって施工会社との間の交渉を有利に進めようと考えたのと同様の発想に基づき、破産会社が有する本件地上権や本件高圧発電事業及び本件低圧発電事業の仮装譲渡先として発電事業譲受会社を設立したことがうかがわれる」と判示しています。

東京地方裁判所の外観
東京地方裁判所の外観
(出所:日経BP)
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 破産会社と発電事業譲受会社は、2017年2月8日、本件工場財団について、根抵当権者を発電事業譲受会社、債務者を破産会社とし、極度額を2000万円とする根抵当権設定登記手続をしました。

 裁判で、発電事業譲受会社は、代表者が、タンス預金から2000万円貸付をした担保である旨を主張しましたが、本判決は、別会社の「保有する資金2000万円を、いったん発電事業譲受会社の預金口座に入金した上で破産会社に対する貸付けとして送金し、その後、破産会社から別会社に返還したものであり、別会社を起点及び終点として2000万円の資金を還流させたものに過ぎないものであり、本件貸付けは、発電事業譲受会社ないし代表者の独立した原資によるものではなく、むしろ、「破産会社に対する貸金債権の外観を作出する目的で行われたものと推認される」と判示しています。

 破産会社と発電事業譲受会社は、同年12月8日付で、本件工場財団について、同年9月30日売買を原因とする破産会社から発電事業譲受会社に対する所有権移転登記手続を行うとともに、破産会社と発電事業譲受会社は、同日付で、本件工場財団の所有権移転を原因とする本件地上権の移転登記手続を行いました(なお、発電事業譲受会社は、後記のとおり、本件工場財団の所有権移転登記の原因について、同年9月30日に破産会社と発電事業譲受会社との間で締結した、破産会社の発電事業譲受会社に対する2000万円の貸金債務に代えて、本件地上権を譲渡し、本件高圧発電認定に係る発電事業者たる地位及び本件電力名義を発電事業譲受会社に変更すること(以下、本件高圧発電認定に係る発電事業者たる地位及び本件電力名義を変更することを併せて「本件高圧発電事業の譲渡」)を内容とする代物弁済契約であると主張しています。以下、被告の主張する当該代物弁済契約を「本件代物弁済」という)。

 破産会社は、破産会社から発電事業譲受会社へ本件事業者地位を変更する再エネ発電事業計画の変更認定を申請するとともに、本件電力名義の名義変更手続をしました。

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