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メガソーラー建設巡り施主と施工者が紛争、発電事業の譲渡が無効に(page 4)

<第74回>メガソーラー売却を「通謀虚偽表示」により無効とした最新判例

2021/05/11 05:00
弁護士法人 匠総合法律事務所 代表社員弁護士 秋野卓生
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裁判所の判決は?

 破産会社の発電事業譲受会社に対する、本件代物弁済による本件地上権及び本件高圧発電事業の譲渡並びに本件低圧発電事業の譲渡(本件各譲渡)は、いずれも、仮に当該譲渡に係る合意が成立していたとしても、その実質は、破産会社(D)において、施工会社による本件請負契約に係る請負代金6億7791万2865円の回収への対抗策として、発電事業譲受会社を設立した上で、発電事業譲受会社への譲渡があったとの外観を仮装したものというほかなく、破産会社及び発電事業譲受会社には、本件各譲渡をする意思がなかったものと認められるから、いずれも「通謀虚偽表示(民法94条)により無効なもの」というべきである。

東京地方裁判所の外観
東京地方裁判所の外観
(出所:日経BP)
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「通謀虚偽表示」とは?

 民法94条の「通謀虚偽表示」とは、相手方と意を通じて行った虚偽の意思表示です。

 (1)「意を通じている」という点と、(2)「虚偽の意思表示である」という要件が整うと成立します。

 互いに、その意思表示が真意でないことを知りながら、虚偽の意思表示をしても、その法律効果は、「無効」となりますよ、という規定が民法第94条に規定されているのです。

 本件では、メガソーラー建設をめぐる施工会社との紛争にて、裁判所から不利な調停案の提示を受けたメガソーラー事業者が、メガソーラーの譲受会社を作出し、事業譲渡した上で、地主とも通謀して、施工会社にプレッシャーを与えるべく通謀虚偽表示がなされたという事案であり、事案として珍しい事案であろうと思います(通謀虚偽表示の典型例は、不動産の仮装売買で、親類間で行われたり、夫婦間で税金対策や強制執行を免れるなどの目的で行われることが多いのです)。

破産管財人が見破る

 本件で、エビデンスは整えられ、各譲渡手続きが行われているのですが、破産管財人はこの不自然さに気がつき、本裁判を提起したものと思われます。

 良く悪質な第二会社を設立して、事業譲渡を行い、元の会社は、もぬけの殻にして破産申立を行うケースなどで、この破産管財人による否認権の行使がなされるケースがあります。

 が、本件は、おそらく、施工会社への請負代金不払いを徹底するための各手続きであったと想定され、私どもも、太陽光発電設備建設を巡るトラブルの法律相談を受けていますが、ここまで大胆なケースは見たことがなく、その意味で、珍しい事案に対する判決であると言えるでしょう。

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